日本製の家電製品が世界で評価を高める一方、日本では海外家電が人気を博している。その筆頭格が英国のダイソンだが、ダイソンの躍進の秘密はどこにあるのか? 作家の山下柚実氏がレポートする。
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『消費者白書』(消費者庁。平成27年版)の第一章にこんなくだりがある。
「家庭用電気機器の輸入額は、1990年の661億円から2014年の6418億円へ約10倍に増加しました」
日本製品とは一味違う、海外家電に人気が集まる今。「10倍」という数字がその熱気を物語っている。快進撃を見せる海外メーカー、その筆頭といえば英国のダイソン。自ら「記録的な成長」と語るように2015年の売上高は前年度比26%増の17億4000万ポンド(約3060億円)、利益は19%増の4億4800万ポンド(約806億4000万円)と伸び続けている。
サイクロン掃除機と羽根の無い扇風機で有名なダイソンだが、アジア圏では特に空調家電が成長分野と見込まれ、大気汚染に悩む中国ではビジネス規模が3倍超に拡大中だ。
振り返れば7年ほど前、日本へ「羽根の無い扇風機」が上陸した時のインパクトは強烈だった。見たこともない奇抜な家電の姿に、人々は目を見張った。当連載もさっそく取材に向かった。そして今、「羽根の無い扇風機」はもはや「扇風機」と呼ぶことのできない「個性的な家電」に姿を変えていた。