日本と海外に関する考え方でも、大きな開きがある。トヨタ自動車の豊田章男社長は、自動車貿易をめぐるトランプ大統領からの批判に対し、「アメリカで作っている車は、アメリカのお客さまのために、アメリカの販売店が、アメリカの工場で、アメリカの従業員が作っている」「われわれも、アメリカメーカーの1つ」と述べた。
批判をかわす意図があるにせよ、トヨタの体質を現わした発言だ。「三菱は国家なり」を標榜する三菱グループとは、良くも悪くも意識が違う。
「トヨタは経団連のような財界活動にも熱心ではなく、今回の経団連人事でも章男社長は『二足のわらじは困難』だとして、自分ではなく早川茂専務を副会長に据えた。経団連を背負う意識の強い三菱や三井とはそこが違う。
トヨタにせよ、孫(正義)さん、柳井(正)さんという強烈な創業者に率いられたソフトバンク、ユニクロにせよ、『自社の業績が第一』が前提ですが、財閥系は歴史的に見て、『自社と同じくらい日本が大事』という姿勢なのです」(経済誌記者)
それは財閥の強さでもあり、足枷でもある。
※週刊ポスト2017年2月24日号