ある企業のベテラン秘書と飲み仲間だったことがある。その日、珍しく機嫌が悪い彼女にワケを聞くと、原因は、「マイル」。
彼女が新たに担当した役員が福岡出張をするので、飛行機の手配をしてチケットを手渡した。そのとたん、「オレはJALじゃなくてANA」と怒り出したんだって。
「キミは何年秘書をやっているんだ。どっちのマイルを貯めているか、聞いてから手配をするのが常識だろう。えーっ?」と言う役員に、ひたすら頭を下げるのも仕事のうち。
「私のミスで1円でも会社に損をさせたなら、どんなに怒られても仕方ないよ。でも、個人で使うマイルを貯め損ねたからって、それであそこまで言う?」
「わかるわ~」と相づちを打ちつつ、「どっちの気持ちも」と言いかけた。
マイルは飛行機のチケットにも換わるし、それで買い物できる店もたくさんある。その役員、きっと「今年の努力目標」とか掲げていたんじゃないかしら。
ま、それが「今」なんだろうけど、貯める喜びが、いつの間にか“損してないか。もっと得する方法があるんじゃないか“とキョロキョロ。それで、どんどん人間が小さくなる気がするんだわ。
えっ? そんな人ばかりではない? 失礼しました!
※女性セブン2017年3月9日号