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男性用トイレ擬音装置「音将軍」の発想と実行力に学ぶ

 学びたいのは、次の3つのポイント。

1.恥ずかしさをかき消すには、別の恥ずかしさを前面に出すのが有効

2.バカバカしいアイディアでも、果敢に実行することで道が開ける

3.トイレ内では「お互いさま」の気持ちで大らかに接することが大切

 まずはひとつめの「恥ずかしさ」に関するポイント。「大」に伴って豪快な音を発してしまうのも恥ずかしい事態ですが、トイレ内に法螺貝の音を響かせるのもかなり恥ずかしいこと。しかし、不意に出てしまう音より、自分の意思でボタンを押して流した音のほうが、まだ開き直った気持ちになれます。

 仕事の場面で、漢字の読み間違いや名前の間違いをしてしまうのは、かなり恥ずかしいこと。そんなときは「おっと、間違えちゃいました。間違いのわかる男。うーん、マンダム」と言いながらアゴをなでましょう。確実にスベリますが、面白くないギャグを放つという別の恥ずかしい行為を前面に押し出すことで、もともとの間違いの恥ずかしさをかき消すことができます。

 ふたつ目の「果敢に実行する」というポイントも重要。「音将軍」のアイディアを書いた最初のツイートも、かなりの反響がありました。しかし、それだけなら「気の利いたジョーク」で終わっていたことでしょう。実際に試作品を作った人が現われたことで、「音将軍」というアイディアの面白さが何倍にもふくらみ、さらに大きな反響を呼びました。

 新商品のプロモーションに関して、たとえば上司に「紙芝居はどうでしょう」と提案して、「なんだそれ」と一笑に付されたとしても、まだあきらめる必要はありません。実際に紙芝居を作ってしまうことで、具体的な効果をイメージさせることができるし、熱意も伝えられます。もしかしたら、作っているうちに「あっ、やっぱりこれはダメかも」と感じて、自分を納得させることができるかもしれません。

 3つ目のポイントは「トイレ内での気持ち」について、あらためて考えさせてくれたこと。「音将軍」がこれだけ話題になったという事実は、「大」に伴う音の発生に悩む人がいかに多いかを示しています。会社のトイレに入ったら隣りの個室から豪快な音が聞こえてきて、しかもドアを開けて出たらその音の主と顔を合わせてしまった……。相手はさぞ気まずい思いをしているでしょう。

 かといって「いい音だったね!」とホメるのは、ちょっと残酷です。わざとらしいのは承知の上で、「いやあ、トイレの中でしばらく居眠りしてて何にも聞こえなかったよ」と言ってあげるのがオススメ。そんなわけはないのですが、わざわざ「何にも聞こえなかったよ」と言ってくれたやさしさと思いやりに、相手は深く感動するはずです。

 自分が図らずも大きな音を発してしまって、その直後に隣りの個室の住人と顔を合わせたときは、いきなり深々と頭を下げて「申し訳ない」と謝ってしまいましょう。とぼけていればいいのにあえて謝ることで、「なんて誠実な人なんだろう」と思ってもらえます。相手が内心「ヘンな音聞かせやがって」とムッとしていたとしても、場所が場所だけに、水に流してくれるのは間違いありません。謝りながら握手を求める方法もありますが、手を洗う前だと後ずさりされて気まずい雰囲気になりそうです。お気を付けください。

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