とはいえ実のところ、食品ロス問題の舵を握っているのはメーカーでも流通でもない。スーパーなどの路面店は(多少、過剰に新鮮さを喧伝する面はあるにしても)、消費者に商品を手にとってもらわなければ商売にならない。最終的には、消費者の見識と購買行動が流通とトレンドを決めていくはずなのだ。
個人的な話をすると、コンビーフなど一部の缶詰は「賞味期限を過ぎてからおいしくなる」と生産者から耳打ちされてから、テストも兼ねて備蓄するようにしている。チーズ好きの外国人には「味が乗り始める賞味期限ギリギリの値引き品しか買わない」という人もいるし、漬け物や納豆などの発酵食品好きは買った時点で味が乗っている賞味期限切れ寸前の物を選ぶ人もいる。
もしかするとこうした豆知識が浸透することが、食品ロスの削減につながるのかもしれない。すでに実践している好事家には「余計なことをするな」と叱られそうではあるが。