ライフ

認知症行方不明者は年間1万5000人 死亡で発見も多数

認知症の行方不明者は激増中

 嘘だろ。たった10分、コンビニへ買い出しに行っただけなのに──。さっきまで、妻はテレビを見て笑っていた。夕飯のおかずと飲み物を急いで買ってくるくらいなら、大丈夫だろうと思っていた。

 テレビはついたまま。飲みかけの湯飲みからは、まだほんのり湯気が立っている。座っていた座布団は凹んだままで、温もりが残っている。携帯も財布も、外出する時にいつも履く靴もそのまま。認知症の妻だけが、いなかった。

 それでも、その時は“すぐに保護されるだろう”と思っていた。70すぎの女が、自分の足で遠くに行けるはずがない。

 だが、違った──。2年経っても、3年経っても妻は見つからなかった。ニュースで「高齢女性の遺体が発見された」と聞くたびに、心臓が波打つ。“妻でありませんように”。そう祈る一方で、最近では“遺体が妻だったら楽になれるのに”と頭をよぎるようにもなってきた。

「消えた人」であれ、あるいは「待つ人」であれ、こんな《悪夢》が、数年後の日本では誰の身にも現実に起こり得るのかもしれない。

 警察庁が発表するデータは衝撃的だ。昨年1年間で全国の警察に届け出があった行方不明者のうち、「認知症」を患っていた人数は1万5432人。前年に比べ26.4%も急増した。増加ペースは年々上がっており、今や行方不明者全体のおよそ2割を占める。介護施設情報誌「あいらいふ」編集長の佐藤恒伯氏がいう。

「団塊の世代が全員75歳以上になる2025年以降は、さらに問題は深刻化するでしょう。全国の至るところで、どこからやってきたか、自分が誰かもわからない認知症患者が徘徊する社会が現実のものになるかもしれないのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン