サルコイドーシスは、自然寛解することが多いため、発症しても治療せずに経過観察する。しかし、1~2割は難治化するものもあり、中でも心臓サルコイドーシスは治療をしないと進行する。結果、重症化して心不全を起こし、命にかかわることもある。
心臓サルコイドーシスの治療はステロイドを第一選択に行なう。ただし、ステロイドの副作用で薬の量や強さを増やせない場合は、リウマチの治療薬であるメトトレキサートを併用したりする。
「1988~2007年に心臓サルコイドーシスと診断され、ステロイド治療が行なわれた男性11例、女性34例中の進行や再発が認められた症例を対象に、ステロイドの副作用がある場合はメトトレキサートを追加して経過を診ました。メトトレキサートを追加した5例で問題となる副作用は見られず、3例ではステロイドの減量が可能になりました」(矢崎部長)
サルコイドーシスに関しては、肉芽腫に関わるサイトカインの研究が進み、それらの働きを抑制する薬を使用する治療アプローチが始まっている。
欧米では免疫抑制剤のシクロスポリンやアザチオプリンが治療の選択肢として報告されてきた。日本も診療ガイドラインが改定され、様々な免疫抑制剤の使用に関して記載されるようになった。
2000年代以降は、心不全薬物治療やデバイス治療の確立、免疫抑制療法の工夫などで5年生存率が格段に上がっている。仮に心肺機能が低下しても、補助人工心臓や心臓移植というオプションもある。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年9月15日号