国内

日本遺産・舞鶴の赤レンガ倉庫 来場者は4年で5倍

映画やドラマの撮影現場も見学できる

 京都府の北西部に位置し、日本海に面する港湾都市である舞鶴市。ここは終戦後、引揚船によって約66万人の引揚者と、1万6000余りの遺骨を迎え入れた街として知られるが、二葉百合子(86才)の代表曲『岸壁の母』の舞台としても有名だ。

 そんな同市には、当時、最先端の技術が結集。大型船舶が停泊する港や造船所、鉄道、水道など、さまざまな施設が築かれ、近代的な都市へと発展した。だが、日本は敗戦。旧海軍が残した赤レンガの建造物は、“負の遺産”として手つかずのままだったと、舞鶴観光協会の観光ガイド・古橋ふみ子さんは言う。

「今から30年近く前、日本海の暗いイメージを払しょくし、もっと観光客に来てもらえる街づくりをしようと、市民運動が起こりました。そんな中、今世紀に入り、横浜市が横浜新港ふ頭にある赤レンガ倉庫を活用しようとしていることを知り、舞鶴の赤レンガ倉庫も何か活用できないかと模索し始めたのです」(古橋さん・以下同)

 その後、1989年に市民団体が中心となって、市が所有している赤レンガ倉庫のライトアップを開始。さらに調査を進めると、旧海軍施設を中心に、倉庫や水道施設、砲台、鉄道施設など、約60の赤レンガ建造物が市内に残っていることがわかった。

「平成に入り、専門家らによる本格的な調査が行われ、明治、大正に建てられた赤レンガ倉庫12棟が密集して残っている貴重な場所であることがわかりました。これらを産業観光として生かそうと、市が改修工事に着手し、合計5棟の改修を終え、2012年に『舞鶴赤れんがパーク』がオープンしました」

 眼前に望む舞鶴湾には、今も海上自衛隊の護衛艦などが停泊している。その圧倒的な迫力と、明治のハイカラ文化を思わせるノスタルジックな風景から、日本の近代化の躍進が体感できる街として2016年に文化庁『日本遺産』に認定された。オープン当初は約12万人だった来場者数も昨年は62万人と右肩上がりだ。

 なお、旧海軍の調理隊員育成のための教科書『厨業管理教科書』や『割烹術参考書』に載っていた海軍カレーライス(800円)や海軍肉じゃが丼(800円)を再現。パーク内のカフェなどで食べられる。

撮影/辻村耕司

※女性セブン2017年11月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン