「まずは1試合、あるいは1大会を通じて適当なスウィープをし続けることができる選手ですね。腹筋、背筋、体幹、足と腕の筋肉をバランスよく鍛えないといけない。そういう意味では、ぐっさん(山口剛史選手/SC軽井沢クラブ・セカンド)は世界でもトップクラスのパワーがあると思います。自分で“日本カーリング筋肉部部長”とか“カーリングゴリラ”とか名乗ってますから。僕も見習うところが多いです。
あとは目ですね。石がデリバリー(投球)されたらすぐに早いか遅いか、回転は適当かジャッジしてスウィープをするかしないか決める、あるいはコーチングをしないといけない。こうしてカナダに来ると筋力とスタミナと目が揃ったスウィーパーがいて勉強になります」
女子選手はどうなのか。平田選手が世界屈指のスウィーパーと憧れる山口選手に女子のスウィープ事情を聞いてみた。
「女子も基本的には同じです。筋力とスタミナと目。ただ、女子は男子と比べるとどうしても筋力が劣る。そのぶんいかに多くブラシを動かせるか、トルク(回転数)も求められます。ロコ・ソラーレ(北見/平昌五輪女子代表チーム)の鈴木夕湖(ゆうみ)選手などは、世界と比べると体格的には劣りますが、それを余って補うトップクラスのトルクを持っています。あれは世界に挑む武器になってくると思いますよ」
カーリングの世界ランキングは、今季アタマまで男子は9位、女子は7位だが、五輪シーズンの今季、スウィープが躍進の鍵を握るかもしれない。
ついでながら書いてしまうと、カーリングのブラシの値段はピンキリだが、例えば山口選手の使用しているバランスプラス社(カナダ・オンタリオ州)のライトスピードというラインナップは、カナダ国内で購入すると180カナダドル(約1万6000円)で、日本で輸入品を買うと2万円前後だ。