実は、その外国人投資家が最も注目しているのが毎年6月にまとめられる政府の「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)だ。安倍政権の5年間、アベノミクス第3の矢である規制撤廃だけが全く進んでいない。それが株価は上がっても日本経済が成長軌道に乗れない大きな原因だった。岡山氏が言う。
「外国人投資家は日本が欧米並みに規制を撤廃するかを見ている。例えば、雇用の自由化など強力な第3の矢が打ち出されたら、日本企業は貯め込んだ内部留保を賃上げや新規分野への投資に使うようになり、消費は上向き、間違いなく経済の好循環が始まる。4月の日銀総裁人事で黒田路線が続き、6月の骨太の方針で成長戦略に乗る。そうすれば『株価3万円』を目指す展開になる」
さらに東京五輪など景気上昇要因が控える中では、バブル期の最高値を更新する『株価4万円』という道も見えてくるだろう。
だが、逆の可能性もある。黒田路線が転換され、成長戦略も期待外れに終われば、外国人投資家たちは「五輪前の景気が良いうちに売れ」と失望売りに走る。それが連鎖し、アベノミクスが始まる前の「株価1万円割れ」のデフレ時代に逆戻りするという可能性だ。
第3の矢は2万円台中盤で一進一退する日経平均株価の天井を突き破るか、それとも毒が塗られた鏃を国民に向けるのか、その答えは半年後に出る。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号