ECBの金融政策がドル円相場にも影響か
投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が1月22日~1月26日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は底堅い展開か。ドイツ政局や欧州中銀(ECB)の政策転換への思惑が広がるなか、ユーロ・ドルの値動きに左右される展開となりそうだ。トランプ政策への期待でドルが買い戻される可能性もあろう。ドイツのメルケル首相は、自身が所属するキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第2党の社会民主党(SPD)との大連立による政権の発足に向け協議を進めている。SPDは21日の党大会で反対派を抑え、連立参加を決定すればユーロ買いが強まる見通し。
また、ECBが11日に公表した昨年12月の理事会議事要旨には、年明け以降に資産買入れガイダンスの段階的な縮小を検討する可能性があるとの記述が含まれていた。25日開催の理事会で現行の緩和的な政策を段階的に縮小するとの方針が決定された場合、ユーロ買いが再び強まる展開もあり得る。しかし、ECB理事会には慎重な意見も根強く、今回はハト派寄りの政策決定となる可能性がやや高い。その場合はユーロ売りが強まり、相対的にドルが買われる展開となりそうだ。
ドル・円は、日銀の緩和政策縮小の見方が出始めたが、22-23日開催の金融政策決定会合で「異次元緩和」の方針が堅持された場合、ドル買い・円売りが広がる見通し。また、トランプ米大統領は一般教書演説に向け、大統領選の公約としていた1兆ドル規模のインフラ整備計画を発表するとみられている。政策期待を手がかりに米国株が堅調に推移し、米長期金利が上昇した場合、ドルの押し上げ要因となるだろう。
【日本銀行金融政策決定会合/総裁会見】(22-23日開催予定)
日銀は22-23日に金融政策決定会合を開催し、終了後に黒田東彦総裁が記者会見する。金融政策は据え置きの公算。近い将来における金融緩和策縮小の思惑が浮上しているが、現行の金融緩和策を当面維持する方針が示された場合、投機的な円買いは後退する可能性が高い。
【米・10-12月期国内総生産(GDP)速報値】(26日発表予定)
26日22時半発表の10-12月期国内総生産(GDP)速報値は、回復基調の持続が期待される。7-9月期の確定値は前年比+3.2%と、改定値の+3.3%から下方修正された。米経済の下振れ懸念が広がればドル売りにつながろう。
・1月22日-26日に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。