対局に際しては相手の得意戦法など、事前の研究が欠かせない。奨励会のライバルは、1期18局に全力を注いでくるのだから、「里見さんがもし奨励会に専念できていれば結果は違った」(同前)という声が出るのは当然だ。将棋連盟関係者がいう。

「里見さんはかつて“女流タイトルをすべて返上してでも、奨励会に入りたい”と、当時の米長邦雄・将棋連盟会長に直談判した。しかし、里見さんがタイトルを返上すれば、女流タイトル戦のスポンサーに迷惑がかかる。米長会長の方針で、女流棋士を続けることを条件に、奨励会への挑戦を認めたといわれています」

 ただ、里見五冠の挑戦に意味がなかったとは言えない。里見五冠の前例なき挑戦があったからこそ、“奨励会一本”に専念する女性会員も出てきた。

 現在、奨励会に在籍する西山朋佳三段(22)や加藤桃子初段(22)が里見五冠の挑戦を引き継いでいく。

※週刊ポスト2018年3月16日号

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