事故を受けて、ウーバーだけでなく、トヨタも米国内で行っていた自動運転車の走行試験を一時中止したほか、自動運転技術の心臓部分を開発中の半導体大手・エヌビディア(米国)も世界中の公道走行試験を休止するなど、波紋は広がっている。
「現在、米国では1000台以上の自動運転車が試験走行を行っていますが、世界で初めて死亡事故が起きたことによって、実用化の道筋が狂うのではと危惧されています」(前出・米紙記者)
自動車ジャーナリスト・川端由美さんが「自動運転」について解説する。
「自動運転は“自動化の度合い”によって、レベル1から5に分類されます。レベル1は、現在市販されている車に搭載されている自動ブレーキなどの安全装置機能を持つ車。レベル2は、自動で車線変更ができるようになるなど、ここで“いわゆる自動運転”といえるようになる。
レベル3は基本的にはシステムが運転するのですが、判断できないことを人間に委ねるため、ドライバーが必要。レベル4は特定の状況下のみ、すべての操作をシステムが行います。そしてレベル5になると、完全な自動運転で、遠隔操作も可能になります」
昨年、ドイツのアウディが世界初となるレベル3の自動運転車「A8」を発表。だが、日本勢も負けてはいない。トヨタは2020年代前半、日産は2022年、ホンダは2025年を目途に、ドライバーの操作が不要な「完全自動運転車」の実用化を発表している。
昨年6月、米国のIT企業・インテルと調査会社・ストラテジー・アナリティクスが行った共同調査によれば、自動運転車が生み出す経済効果は、2035年には8000億ドル(約88兆円)に、2050年には7兆ドル(約770兆円)規模にまで拡大するという。
だが、今回の事故によって、その予想は下方修正が必要となるかもしれない。
※女性セブン2018年4月19日号