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H&Mなど外資ファストファッションが苦戦に転じた3つの理由

 次に(2)です。これが顕著になったのは2015年のことです。2015年にはジーユーが100万枚を販売したという「ガウチョパンツ」が一大トレンド商品となりました。

 ファッションのトレンドは毎年様々あり、世界的トレンドのものからローカルトレンドのものまで幅広くあり、それが市場で混在しています。3年前のガウチョパンツというトレンドは、グローバルトレンドではなく、日本国内だけの地域限定トレンドだったのです。

 そのため、商品企画をグローバル体制で行っているブランドがあまり対応できず、国内で日本向けに商品企画を行っているジーユーだけがガウチョパンツに対応し、大きな売り上げを得ました。ガウチョに限らず、各国にはそれぞれ独自のトレンドがありますが、グローバル展開をしていると、どうしてもそこへの対応が手薄になってしまいます。

 最後に(3)ですが、10年前の外資系ファストファッション上陸時には、日本には、低価格かつ高トレンド対応ブランドは存在しませんでした。ユニクロはある程度のトレンドは意識していますが、基本的にはベーシック寄りです。「しまむら」はようやく、この頃「ファッション」として注目され始めたところでした。

 ジーユーはどうかというと、もともと「ユニクロの廉価版」として2006年にスタートしていたので、この頃はまだ「安くて品質の低いユニクロ」に過ぎませんでした。ですから、ファストファッションが消費者から支持を集めたのです。

 しかし、ジーユーは2010年に大変身します。それまでの「廉価版ユニクロ」を捨てて「トレンド対応ブランド」へと変身したのです。これが効を奏して、ジーユーはついに2000億円ブランドにまで成長しました。低迷していたジーユーの売上高がそこから急激に伸び始めるのです。2012年度は586億円、2013年度は837億円、2014年度は1075億円となり、2018年8月期では2000億円を越える見通しとなっています。

 またジーユー以外にも他の低価格・高トレンドブランドが日本国内で数多く成長したことも挙げられます。

 アダストリアホールディングスやストライプインターナショナルの各ブランドや、ウィゴー、アーバンリサーチの「センス・オブ・プレイス」、ユナイテッドアローズの「コーエン」などが成長したため、外資ブランドから売上高を奪ったとも考えられます。

 外資ブランドよりもこれら国内ブランドが支持を集めた理由は、それぞれのブランドがユニクロには及ばないまでも外資ブランドよりは品質が高く、日本人の好みに応じた商品を提供できていたことになります。

 それらの理由を見ると、グローバルファストファッションは敗れるべくして敗れたといえますし、相次ぐ閉店も当然の結果といえるでしょう。

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