『コンビニ外国人』著者の芹沢健介氏


 留学先の多くを占める日本語学校にも問題が多い。まず挙げられるのが授業料の高さだ。1日あたり3、4コマの授業のために年間70万~80万円を支払う。日本語学校には教員1人に対して生徒を40人以下にしなければならない決まりがあるが、学校によっては100人以上と、教育機関の体をなしていない学校もある。コンビニなどでの長時間勤務で疲れ果てた留学生たちが、授業中に寝ている光景は珍しくないそうだ。

 全国の日本語学校は去年より80校増えて、今では643校になった。この5年間で200校以上増えている。目立つのは、異業種からの参入だ。不動産会社や健康食品会社のほか、珍しいところではビル清掃会社まである。傘下の日本語学校に留学生を集め、アルバイト先として本業であるビル清掃の仕事を斡旋しているという。人手不足を解消するために日本語学校を設立するという、本末転倒の現象が起きている。

 一部の日本語学校は、海外にある日本語学校、ブローカーなどと複雑につながっている。日本で学びたい(働きたい)若者に借金を背負わせ、「留学生」の名目で送り込むという、搾取の構図を作り上げている。

 ベトナムを取材した折、現地の安宿で働く若い女性から、その宿のオーナーがベトナムの日本語学校と日本の日本語学校をつなぐブローカーであると耳打ちされた。その宿には日本人ブローカーも多数集まるらしく、女性が「あの人が」と教えてくれた日本人は、いかにもその道の人という風貌であったため、身の危険を感じて取材を断念した。

 こうした“国際貧困ビジネス”がまかり通る筋道は、政府が示しているともいえる。なにしろ日本政府は、2008年に13万人程度だった留学生を2020年までに30万人に増やす計画をぶち上げ、日本語学校に補助金を出してきている。その結果、昨年末の時点で留学生は31万人まで増えているのだから。

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