まず、球数を制限すると投手は余分な気を遣うので投球に専念できなくなるだろうし、試合の駆け引きに使われる恐れもある。
もっと大きな問題は、球数を制限すると各チームは複数のエース級投手をそろえなければならないので、選手層の薄い公立高校や地方の高校は圧倒的に不利になる。野球エリートが集まる大都市の常連校ばかりが勝ち残ることになるだろう。
ところで、今年の大会が突きつけた問題は球数だけではない。異常な猛暑のなか、炎天下で試合をすることの危険性を指摘する声も大きかった。幸いにして大きな事故やアクシデントは発生しなかったものの、脱水症状からか選手の足が引きつるトラブルが相次ぎ、それが勝敗に影響したとみられるケースもあった。
炎天下で応援する生徒や観客の健康も心配だ。温暖化で猛暑は年々厳しさを増しているだけに、はたしていまのまま炎天下で大会を続けることができるだろうか。
さらに、高校野球が過熱化するにつれて練習や試合の負担も大きくなっており、学校の授業や勉強との両立についても真剣に考えなければならない。ちなみに大学スポーツ界では不祥事を契機に「学業優先」への改革が進められようとしている。