水だんごを除く1位から5位までの商品は、「ロッジ型の貯金箱」(1位)、「万年カレンダー」(3位)、「ビー玉迷路」(4位)、「スマートボール」(5位)で、すべて木工工作用キットである。いずれも1000~2000円ほどで、家庭で用意するのは木工用ボンドと、着色用の絵の具だけ。
木工工作は古くから自由研究の定番だったが、いまやノコギリを使う必要もなくなっている。
子供は減ったが、そのぶん親たちが一人あたりにかける予算が増えたからか、自由研究は“市場”としてメーカーにとっても狙い目になっているようだ。教育事業を展開する企業がこぞって参入している。
学研は「指紋採取」「ビタミンCの研究」「おいしい水の研究」など11種類から展開する『自由研究おたすけキット』を販売し、〈たった1日で自由研究はカンペキ!〉と謳っている。こちらも価格は1000円台が中心だ。
「こうしたキットが流行るのは、親に“手っ取り早く済ませたい”という気持ちがあるのだと思います。公園で見つけたダンゴムシを虫眼鏡で観察しながら1枚のスケッチにすれば、十分に立派な自由研究ですが、それに親が付き合うのは面倒ですし、成果物も地味に見えてしまう。それよりは説明書通りにできるキットを与えておけば、“カッコいい研究”をしたように見える」(教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏)
流行の背景には、「親世代の変化」もあるようだ。
※週刊ポスト2019年8月30日号