まずはハイブリッドパワートレイン。ホンダは2013年以降、それまでの簡易型マイルドハイブリッド「IMA」から順次、モーターのみで発進加速が可能なストロングハイブリッドに切り替えてきた。そのストロングハイブリッドには1モーター、2モーター、3モーターの3つがあったのだが、八郷隆弘社長は今後、2モーターのi-MMDに一本化していくことを明言している。先にも述べたが、今回のインサイトのシステムはこれだ。
発電用エンジンは最高出力80kW(109ps)の高効率な1.5リットルミラーサイクル。電気モーターの最高出力は96kW(131ps)。アメリカ仕様のスペックシートによればシステム出力は111kW(151ps)に達するらしいが、これはエンジン直結、電気モーターがそれをアシストするパラレルハイブリッド駆動時のみ発生可能な数値で、日本の実用域ではモーターの出力イコール最高出力とみていいだろう。プリウスの90kW(122ps)より若干強力だが、ほとんど違いはない。
ところが、GPSの実測値にもとづいて0-100km/h加速を測って見ると、これがなかなか速い。特別なローンチテクニックを使わず、スロットルを一気に全開にするというシンプルなスタート法でビデオ撮影を行い、その映像をもとに手動計測してみたところ、8.3秒(メーター表示105km/h)。同じ場所、同じ方法でプリウスと同じパワートレインを積む「カローラスポーツ」の計測値よりも3秒ほど短かった。
電気モーターで走るシリーズハイブリッドは性質がよりEVに近いが、数値上の最高出力のわりに速力が高いという点もEVライクと言えた。性能的に競合するのはトヨタが欧州で展開している強力な2リットル+ハイブリッドのほうであろう。
動力性能の高さのわりに燃費が良いのもインサイトの特徴と言えた。すりきり満タン法による実測燃費は東京から奈良の天理までの532.9km区間が23.1km/リットル(L)、そこから山口・下関までの651.2km区間が25.3km/L……といった具合だ。