「コンサートに行けなくなった」、「旅行先が雨」などの“小さな困った”に対応する保険は、これまでほぼなかった。ところが最近、これらをピンポイントでカバーするミニ保険(少額短期保険)が続々登場し、急成長している。
◆ミニ保険が生まれた背景は?
もともと保険には【1】保険業法に基づく生保・損保、【2】JA共済や全労済など根拠法のある共済、【3】根拠法のない無認可共済、の3カテゴリーがあった。
しかし、【3】は監督官庁がなかったために放漫経営で、オレンジ共済組合事件のような詐欺トラブルを引き起こすケースも。そうした経緯から保険業法が改正され、金融庁の監督の下、2006年から少額短期保険として再スタートしたのだ。
◆どういう会社がやっているの?
保険業法改正当初430以上あった無認可団体のうち、健全経営をしていた52社が少額短期保険会社に移行。その後、異業種から新規で50社が設立され、現在102社が存在する。
新規参入組には楽天、SBI、ヤマダ電機、光通信、大東建託、スターツなどの大手企業系列が顔を並べる。ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは言う。
「ミニ保険でシェアが高い家財保険に、不動産会社の参入が多く見られます」
◆会社がつぶれたら心配だが…
ミニ保険にはセーフティネットがないが、少額短期保険会社は業務開始時に1000万円、毎決算時に一定の供託金を段階的に積み増して法務局に預けることが金融庁の指導で義務づけられている。
「万が一破綻しても備えはあり、過去、廃業したケースでもしっかり保障は行われました。ミニ保険は短期で貯蓄性もないので、倒産しても被害は限定的。極端に怖がる必要はありません」(畠中さん)
※女性セブン2019年11月7・14日号