日本医学放射線学会が認定する「放射線診断専門医」は、CTやMRI、レントゲン(胸部X線)などの画像診断について専門知識を求められるが、こちらも「5年以上同学会員であること」「2年以上臨床経験があること」などの要件を満たしたうえで筆記試験を受験する。
この2つの専門医はどちらも、試験の合格後に研修期間が設けられている(内視鏡専門医が5年、放射線診断専門医が2年)が、実技試験は設けられていない。
一方、検査について広い知識が求められる「臨床検査専門医」も学会への所属が義務づけられているが、こちらは受験資格として「学会が定める5年の研修を事前に終了しておくこと」が求められ、採血や血液検査の判定・評価といった実技試験がある。
こうした専門医の一覧は学会HPなどで公開されており、“自分の家に近い専門医”を探すことは可能だ。ただし、これらの資格を持っているからといって「検査が上手い医者」とは限らない。
「専門医であれば最低限のレベルは満たしていると考えていいが、それより先の、“上手いかヘタか”というのは別の話です」(村上氏)
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は専門医の実態をこう話す。
「試験はそれなりのレベルですが、何回か受ければ合格しますから、簡単に取れると言っていい。専門医の認定を持っていればプロフィールに書けるし、個人病院などではハクづけにもなりますから、“取らないよりは取っておくほうがいい”と考える医師がほとんどです」
◆更新は? 免許剥奪は?
むしろ技量に差がつくのは、専門医の認定を得てからだ。
「医師の勤務先によって、検査を経験できる件数は大きく変わります。更新の段階でさらに経験を積んできた医師もいれば、件数が減っている医師もいる。車の運転でも、毎日運転しているプロのドライバーと、たまにしか運転しない人とでは、運転の技量に大きな差が出る。それと同じです」(村上氏)