トランプか、バイデンか。11月3日の投開票に向け、米大統領選が激しさを増している。9月16日に新首相が誕生する日本にとって、次期大統領が誰になるかは今後の日米関係を左右する重大な関心事である。
そんな中、トランプ氏一族の内部事情を“告発”する本が7月に米国で出版され話題となっている。その邦訳版『世界で最も危険な男 「トランプ家の暗部」を姪が告発』(小学館)が近日刊行されるにあたり、本書の著者であり、大統領の姪(兄フレッド・トランプ・ジュニアの娘)でもある臨床心理学者メアリー・トランプ氏に話を聞いた。(聞き手/在米ジャーナリスト・高濱賛)
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──あなたは、著書のプロローグで〈私は、彼がこの国を破滅へと導くのを許すことはできない〉と書かれていますが、本を書いた動機についてもう少し詳しく教えて下さい。
メアリー・トランプ(以下メアリー):まず第一に、私は2016年の大統領選の前にはドナルドが大統領になるチャンスはないと思い、彼が勝つとは真剣には思っていませんでした。選挙後、大統領になった彼は大変なことになると信じていました。彼は大統領なんかには全く向いていない、と。
それでも彼の周りには、彼の衝動的な言動が与えるダメージをいくらかでも軽減させてくれるような、有能な人たちが集まってくれるだろうと祈るような気持でした。ところが不幸にして、私は間違っていました。
彼の周りに集まった人たちは、彼の言動を修正してくれるどころか、彼のどうしようもない行動には目をつぶり、むしろ支持するような人間だらけだったのです。このままだとこの国はどうしようもないほどひどい道を突き進むことになると感じました。でも私はどうしたらいいのか、わかりませんでした。