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PS5の「転売ヤー対策」がほとんど意味をなさない理由

現行のPS4が発売された2014年も家電量販店の店頭などには大行列ができた(AFP=時事通信フォト)

現行のPS4が発売された2014年も家電量販店の店頭などには大行列ができた(AFP=時事通信フォト)

 話を戻そう。ではなぜ、高額販売が起きてしまったのか? 今回は新型コロナウィルス感染症が影響していると見ている。

 これまでのゲーム機の予約開始は、ゲーム機ファンが早朝から店頭に並び、予約開始時間までを過ごすという光景が一般的であった。しかし、コロナ対策で「3密」を回避する必要があるため、店頭での予約が難しくなってしまった。

 通常であれば、発売初週は過去のゲーム機の販売実績から30万台以上の出荷を期待できるが、9月18日に限れば、予約販売開始当日はアマゾンなど一部のわずかなECサイトしか供給がない一方、どうしても発売と同時に欲しいゲーム愛好家が30万人程度はいることを考えると、需要に対して、供給量が少なすぎる結果になり、前述の40万円の高額販売になったというわけである。

 ただ、繰り返しになるが、ソニーは1台でも多くユーザーに届けるべく努力しているので慌てないでいただきたい。前述したように欲しい人に届くまで、それほど時間はかからないだろう。

 一方、大手量販店ではアマゾンなどから少し遅れて連休に入ってからオンラインでの抽選販売という方式がとられた。極端な品薄が続いている「Nintendo Switch」でも行われている方法である。主な理由は、3密対策に加えて転売対策もある。

 以前は転売行為を行うことは難しかったが、インターネット、さらにスマートフォンの普及で気軽にネットオークション、フリマアプリを活用できるようになった結果、転売屋(いわゆる“転売ヤー”)と呼ばれる人々が大幅に増えてしまった。さらに、最近は経済成長を果たした中国でゲーム機需要が増え、正式発売前に日本で販売されたゲーム機を欲しいというニーズもある。このような人向けの転売屋もいるのである。

 なお、ソニーストアでは9月17日付で購入履歴がある人向けに、抽選販売の手続きをスタートさせている。これも転売対策とされているが、効果があるとは思えない。転売を行うような人々は、そもそもあらゆるEコマースを使っているだろうし、効率が良いEコマースを好む傾向があるからだ。

 自動的に買い付けを行うソフトウェアも存在しており、転売屋はそれを使う。店頭に複数の人を雇うと人件費がかかるため、よほどのことがないと効率が悪い。最初にアマゾンで短時間に売り切れたのも、こうしたソフトが使われている可能性が高いためだ。排除しようにも“いたちごっこ”の面があるため、十分な対策が取れないでいる。

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