また、お笑い評論家のラリー遠田氏は、ファイナルステージで披露したコントについて〈これはすごいネタだ。面白い上に叙情的〉とツイート。さらに〈空気階段のこの感じは、キングオブコント史を振り返ると、ピースが出たときの感じに近い。コントで文学をやるタイプの芸人が久しぶりに出てきた〉と、お笑いコンビ・ピースとの類似も指摘している。
空気階段のコントの魅力について、ラリー遠田氏は次のように解説する。
「空気階段のコントの特徴は、品のなさと文学性という、相反するように見える要素が共存していることです。多くのネタでは、私生活でも借金まみれで遅刻の常習犯であるダメ人間のもぐらさんが、素のキャラクターを生かして社会不適合者っぽい情けないおじさんを演じています。さらに、下ネタが含まれていることも結構あるのですが、不思議と嫌な感じがしません。
ネタの設定にはファンタジーの要素が強く、笑わせると同時に感動を誘うこともあります。かたまりさんのピュアな感性がネタに反映されていて、どこか切なさを感じさせるところがあるのが魅力です」
品のなさと文学性を両立し、笑いと同時に切なさも引き起こしてしまう空気階段のコント。活動休止状態となっているピースに代わって、お笑い界に新しい感性を持ち込むことになるのではないだろうか。
●取材・文/細田成嗣(HEW)