東京都港区にある麻布中学校・高等学校は、東大合格者数トップ10常連校ながら底抜けに自由な校風で知られる。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、近著『麻布という不治の病』で、幅広い業界で異色の活躍を見せる卒業生9人へのインタビューをもとに、自らの母校の時代ごとの校風を活写した。その一部を抜粋し、麻布の自由な校風がどんな個性を育んだのかを見ていく。コロプラ創業者として知られ、現在は投資家として活動する千葉功太郎さん(46)は、中学・高校時代に「人生の戦い方」を学んだという。
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ホンダジェットを自ら操縦する「空飛ぶ投資家」
千葉功太郎さんは1993年に麻布卒業後、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の環境情報学部4期生としてインターネットとグループワークについて貪欲に学ぶかたわら、学生起業も経験した。
リクルート入社後は3年目にして周囲の反対を押し切りほぼ独力で携帯用ポータルサイト立ち上げ。携帯電話向けコンテンツを扱うサイバードへ転職後、ケイ・ラボラトリー創業に関わる。さらに、携帯電話の位置情報システムを活用した位置ゲームを開発するコロプラを創業。4年後には東証マザーズに上場、その約1年半後には東証一部上場。
コロプラの成功を確実なものとしてから退任し、その後は個人投資家として活動する。ドローン技術への投資に特化したドローンファンドの代表パートナーでもある。小型プライベートジェット機「ホンダジェット」の1号機を購入するだけでなく、自ら航空パイロットの資格を取得し操縦する。文字通り「空飛ぶ投資家」だ。
麻布で感じた強烈な劣等感とそれを乗り越えた自信が、その後の活躍の原動力になっているという。ちなみに千葉さんは麻布では私の1学年下の後輩でありながら、リクルートでは同期だ。
大学名よりも「麻布」の名を出すほうがウケがいい
──普段SFCのイメージを前面に出しているとは思うのですが、自分が麻布出身だってことを強く感じる瞬間ってありますか?
自分から麻布だって言うことは少ないんだけど、何かの拍子にそれがわかって「麻布出身だったんですね!」って言われるときの相手の感触がめちゃくちゃいいんですよ。ぶっちゃけ、SFC出身って言っても、変わり者という目で見られることはあっても尊敬されることは少ないんですね。でも麻布ですと言うと老若男女問わず尊敬の眼差しに変わる。
麻布ブランドは強いなあと思うことがたびたびあります。それはビジネス的にも興味深いですね。ブランドとか商品価値を維持するってすごく難しいし、実際学校の中では普通の親なら卒倒しちゃうような事件が頻繁に起こっているのに、全然ブランド力が下がらない。むしろ上がっている。