新型コロナは、企業経営に深刻なダメージを与えている。資金繰りに苦しむ会社が頼るのは、金融機関からの融資──すなわち「借金」だ。
特に大きな話題となったのが、ANAホールディングス(以下、ANA)の巨額借り入れだ。日本政策投資銀行など5行から、約4000億円の追加融資を受けることが固まった。同社は6月までに金融機関からの借り入れや融資枠の設定によって1兆円超の資金を確保していたが、さらに借金を上乗せすることになった。
しかし一口に借金と言っても、その性質は様々。企業には「良い借金」と「悪い借金」が存在するのだ。
長期か、短期か
実は日本を代表する企業の多くは、莫大な借金を抱えている。Yahoo!ファイナンスが公表している上場企業の「有利子負債ランキング」(2020年10月22日時点)によれば、1位はトヨタ自動車で約20兆5530億円、2位はソフトバンクグループで約13兆1320億円にのぼる。
以下3位は野村ホールディングス(同9兆9800億円)、4位・日産自動車(7兆8000億円)、5位・ホンダ(7兆4700億円)、6位・三菱商事(5兆7600億円)、7位・武田薬品工業(5兆930億円)と続く(いずれも連結ベース)。
上位に並ぶのは、名だたるグローバル企業ばかりだ。投資情報提供会社・カブ知恵代表の藤井英敏氏が語る。
「いくら有利子負債が多くても、事業利益の利回りが高ければマーケットは高く評価します。個人に置き換えると、いくら高い住宅ローンを借りてもそれを上回る収入があれば問題ないということです。融資された資金を効率的に回し、本業に資金投下することを投資家は好む。逆に借金が大きいのに、事業利回りの見通しが悪化しているような場合は投資家に避けられます」