国内

「利権ファースト」の無観客五輪など開催する意味があるのか

もうギブアップしたら?(時事)

もうギブアップしたら?(時事)

 どうしてそこまでしてオリンピックを開催したいのか、多くの国民はもはや政府や組織委、IOCの言動を気味悪くさえ感じているのではないか。すでに世論調査では、今年7月の開催に反対する国民が少なくとも半数、多いものでは9割に達しているのに、中止という声はいまだ全く聞こえてこない。

 選手だけで1万1000人(パラリンピックを入れれば1万5000人)、関係者は5万人以上にのぼる。それだけの人を世界中から招き入れて(それこそ変異株が蔓延している南アフリカやブラジルからも)、感染対策を万全にしますと言い切る根拠は示されていない。日本国民すらPCR検査がなかなか受けられないのに、関係者を毎日のように検査すると言ってみたり、日本の高齢者や基礎疾患のあるハイリスク層のワクチン接種「開始」が5月とも6月とも言われているのに、選手・関係者には中国製ワクチンを打つと言ってみたり。そもそも中国製ワクチンは日本で認可すらされていない。これでいったいどうやれば「安全安心の五輪」を実現できるというのだろうか。

 背景はいろいろある。すでに世界各国(特にアメリカ)のテレビ局からIOCが受け取ってしまった巨額の放映権料を返したくないとか、東京が中止なら来年の北京も難しくなるとか、世界中に販売してしまったチケット代の払い戻しをしたくないとか、IOCのバッハ会長ほか幹部の経歴に関わるとか、なかには招致をめぐって裏金が動いたから引き返せないなんて説もあって、要するにすべて利権やカネの話である。これで「アスリート・ファースト」とか「復興五輪」とか「コロナに人類が打ち勝った証」とか、ちゃんちゃらおかしいではないか。

『週刊ポスト』(3月19日発売号)では、無観客開催まで取り沙汰されている東京五輪の開催意義と弊害について、種々のデータとともに各界専門家が論じている。そこで紹介しきれなかった2名の卓見をここで紹介する。まずはスポーツジャーナリストの玉木正之氏だ。

「外国人の観客受け入れを断念したとはいえ、コロナが今後どうなるかはわからない。それなのに、IOCや組織委はオリンピックを『やる』としか言わないし、中止にする条件も明確にしていません。選手1万1000人、関係者合わせて5万人を隔離、移動させるなんて無理ですよ。埼玉の奥にある霞ヶ関カンツリー倶楽部(ゴルフ会場)に運ぶのはどうするのか、自転車競技は静岡ですよ? 一つ一つの計画が全く科学的じゃないんです。

 どうしても開催したいなら競技数を減らすなどについて突っ込んだ議論をする段階にきています。開会式も各国数人が行進する案なんかが出てるけど、そこまでしても開会式をやらなければならないのは、アメリカの放送局に中継させる契約があるからとも言われています。IOCは『イベント屋』になってしまいましたね」

関連記事

トピックス

勝負強さは健在のDeNA筒香嘉智(時事通信フォト)
DeNA筒香嘉智、日本復帰で即大活躍のウラにチームメイトの“粋な計らい” 主砲・牧秀悟が音頭を取った「チャラい歓迎」
週刊ポスト
『虎に翼』の公式Xより
ドラマ通が選ぶ「最高の弁護士ドラマ」ランキング 圧倒的1位は『リーガル・ハイ』、キャラクターの濃さも話の密度も圧倒的
女性セブン
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン