まじめな教師と保護者ならば何の問題もないはずだが、どちらかの能力や人格に問題があったり、相性が悪かったりすれば、百害あって一利なしなんてことにもなりかねないようだ。ただし、学校側が家庭訪問を避けたい事情のなかには、むしろ教員と保護者の相性が「良すぎる」ことへの懸念もあるという。長年、現場教員の養成に携わってきた教育評論家の石川幸夫氏が明かす。
「これは教育に関わる者としてあまり言いたくないことですが、家庭訪問をきっかけに保護者と先生が男女の仲になることが結構あるのです。十指に余る例を知っています。なかには駆け落ちしてしまったケースまである。つい数年前にもひとつありましたね。もっとも、家庭訪問をなくせば防げるわけではなくて、この10年くらいは保護者が子供の相談で学校に訪ねてきて、そこから先生と男女関係に、というパターンが増えているように思います。これは男性教諭、女性教諭どちらもあります」
教師だから「聖職者」だというのは幻想だとしても、たしかに学校としては決して起こしたくない不祥事に違いない。令和の学校と家庭のコミュニケーションには、様々な障害とリスクがあるようだ。