ライフ

森永卓郎氏が振り返る父の介護 11年間で2000万円の出費も

親の介護にはどのような苦労が?(写真は森永卓郎氏/共同通信社)

親の介護にはどのような苦労が?(写真は森永卓郎氏/共同通信社)

 人生の後半戦の正念場のひとつが「親の死」だ。父や母が亡くなった後、悲しむ間もなく、待ち受けるのが「おひとりさま」になった親を巡る問題である。おひとりさまになった途端に認知機能が低下するケースは少なくない。3年前に父親が他界し、70代の母親が残された40代女性が語る。

「父の生前から母には軽いボケがあったが、『夫の世話をする』という日課があるのがよかったのか、生活に大きな支障はありませんでした。しかし父が亡くなると症状が悪化し、妙にお金に執着するようになった。毎日のように近所の銀行の支店に行き、『私のお金はどうなっていますか』と尋ね、近所に住む姉が様子を見に行っても『私のお金が目当てではないか』と疑いの目を向けるようになりました」

 心臓が凍りかけたと語るのは60代男性だ。

「母の死でおひとりさまになった父が、運転中にブレーキとアクセルを踏み間違えて店に車ごと突っ込んだんです。幸い物損だけで済みましたが、人をはねていたらと思うとゾッとします」

 認知症以外でも、疾患を抱える親の介護は重荷となる。母の死後、脳出血で倒れた父を自宅で介護した経済アナリストの森永卓郎氏(63)が語る。

「仕事で忙しい私の代わりに、妻が父の面倒を見ていました。毎朝6時に起きて、父を着替えさせ歯を磨かせる。トイレはなんとか自力で行けるものの、一度でもつまずくと一人では立ち上がれない。家中にナースコールのように警報ベルをつけ、それがけたたましく鳴るたびに、妻は夜中だろうが明け方だろうが飛び起きて駆けつけていました。

 1年3か月にわたる自宅介護の末、もう限界だということで介護施設に入ることになりました。そこで発生したのが、費用の問題です。介護施設に払うお金が月額30万円、加えてリネン代などの追加費用がかかる。さらにそれ以外にも新聞代だのなんだので1か月に40万~50万円にもなる。

 我々が把握している父の預金口座は1つしかなく、そこに入っている金額だけでは明らかに足りない。その他の口座があるのか父に尋ねても『あるはずだけど、どこにあるかわからない』と答えるばかり。最初のうちは父の口座から引き落としていたが、すぐに底をつき、自分たちで負担することになりました。父がおひとりさまになってから亡くなるまでの11年間で我が家が負担した額は2000万円くらいにはなっていると思います」

※週刊ポスト2021年4月16・23日号

関連記事

トピックス

映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン