「まん延防止等重点措置」の適用要請を決定した新型コロナウイルス対策本部会議の後、臨時記者会見する京都府の西脇隆俊知事(時事通信フォト)

「まん延防止等重点措置」の適用要請を決定した新型コロナウイルス対策本部会議の後、臨時記者会見する京都府の西脇隆俊知事(時事通信フォト)

・勝負その5「どちらが菅首相が『他人ごと』みたいな顔ができるか」

「緊」は政府が主体となって発出します。「ま」も、政府が適用を決定することには違いありませんが、流れとしては「都道府県の要請に答えて」という形です。実際、8日夜に菅首相は、記者団から「ま」を適用することに関する質問を受けて、「(東京が)要請してきた」から検討に入ると答えました。解除したばかりの「緊」をまた発出すると、判断ミスを責められるのは必至。しかし「ま」を適用している分には、そのへんを曖昧にできます。この勝負は「ま」の勝ち。

・勝負その6「東京五輪をどうしても開催するためにはどちらが好都合か」

 たぶん気のせいですけど、政府は感染の拡大を抑えて国民を守ることより、なんとしても東京五輪を開催することのほうが大事だと思っているように見えなくもありません。まさかとは思いますけど、そんな思惑や空気が存在すると仮定した場合は、また「緊」を発出するより、地域限定のイメージが強い「ま」のほうが好都合です。この勝負も「ま」の圧勝ですね。

・勝負その7「ワクチン接種の遅れをごまかすにはどちらが好都合か」

 接種のスケジュールが遅れ遅れになっていることに対しては、今でもさんざん批判されています。もし「緊」が発出されたら、政府はもっと強い勢いで「ワクチンはどうなってるんだ!」と言われまくるでしょう。「ま」でも批判が収まるわけではありませんが、聞きなれない用語に気を取られて、ワクチンのことをしばし忘れる効果は期待できるかも。この勝負、政府の立場としては「ま」の勝ちです。国民にとっては、批判し続けたほうがいいのか、どうせ打てないなら忘れたほうがいいのか、その判断は難しいですね。

 というわけで、国民にとっての勝ち負けは微妙でしたが、少なくとも政府の立場から見ると「まん延防止等重点措置」が勝利を収めました。あっ、だから「緊急事態宣言」の発出ではなく、そっちを適用しているのか。政府の中にも、この7番勝負に近い比較をやってみた人がいたんですね、きっと。

 ご承知のとおり、政府のコロナ対策は一貫してグダグダです。もしかしたら、まだまだ続く長い戦いに備えて、国民ひとりひとりの「自主性」を鍛えようという深い狙いがあるのかも。政府がどうあれ、私たちとしてはそれぞれの状況の中で、自分にできる感染対策を全力でやっていくだけです。気をゆるめずに、引き続きがんばりましょう。

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