松山の快挙は先人たちの拓いた道の先にあった(Sipa USA/時事通信フォト)

松山の快挙は先人たちの拓いた道の先にあった(Sipa USA/時事通信フォト)

 二人は後進との関わり方も違います。青木ファミリー、ジャンボ軍団と呼ばれるそれぞれのグループの性格がまったく違う。青木はゴルフのたたき上げで、ずっと個人競技で自分を磨いてきたから、自分も一匹狼だし、弟子たちに対しても個人の力を磨いていくことを大事にする。一方の尾崎は野球出身なので、もともとチームプレイが好きで、自分は監督を目指す。それを今も続けているわけです。この二人がいたから、それに続く中嶋常幸や倉本昌弘が出てきてゴルフ界が底上げされたとも言える。

 ファンを魅了するポイントも違っていました。尾崎はとにかくショットがケタ違い。3アイアンで打てば、近くにいるギャラリーの足元まで振動が響く。青木はグリーン周りとパットで魅せた。これはテレビ向きで、グリーン周りは時間もかけるしボールが画面から消えることもない。そこでミラクルショットや奇跡のパットを打つ。タイプの違う二人が同時代に活躍したことも良かったのでしょう。

 尾崎は一言でいえば傾奇者(かぶきもの)です。派手な衣装をまとって目立ちたいが、苦労して勝った姿は見せたくない。プロは夢を与える商売だという考えだから、大ぼらを吹いたりもするが、実は人に見せない努力や苦労をしている。それに対して青木は勝負師です。自分の腕を試すために世界を回って道場破りをする。二人は戦いの場が分かれても互いに認め合う存在であり続け、だからこそ両雄が並び立ったのでしょう。

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