「ある研究では、7時間座りっぱなしのグループと、20~30分ごとに立ち上がって少し動いたり、中強度の運動をして座位行動を中断するグループを比べました。
すると、ずっと座っている条件よりも、少しでも体を動かしている条件の方が、疲労感のほか、血圧や血糖値などの数値も改善したのです」
とはいえ、まだまだ続きそうな自粛生活の中、家でずっと立ったまま過ごすのは難しいし、筋トレやスポーツができる場所など限られている。
だが、安心してほしい。岡さんは、座り時間の合間にちょこちょこと動き回ったり、軽めの運動を少しすることで、座りすぎのリスクをある程度減らすことができると話す。
「アメリカでは、いす(カウチ)に座りっぱなしでお菓子を食べてダラダラ過ごしている人のことを『カウチポテト』といいます。転じて、日中や平日は座りっぱなしなのに、週末だけ運動する人は『アクティブ・カウチポテト』『ウイークエンド・ウオーリアー(週末戦士)』と呼ばれる。もちろん、何もしないよりは健康的ですが、だからといって、座りすぎのリスクを相殺できるわけではありません。
さらに、ジムやスポーツクラブである程度の運動をしているかどうかは関係なく、座位行動を中断する頻度が高い人は、死亡リスクが低いことがわかっています。
毎週ジムに通うことができなくても、毎日なにかしら体を動かすことを意識して、連続して座り続ける時間をできるだけ短くすることが重要なのです」
体を動かす際は、「3メッツ」以上の活動が望ましい。「メッツ」とは、運動の強度を表す単位のこと。3メッツ以上は、早歩きや草むしりなど、少し息がはずむくらいの強度の運動を指す。左上に、日常生活でできる運動を強度の低い順にまとめたので、参考にしてほしい。
買い物に行くときにいつもより速く歩くのを意識したり、エレベーターではなく階段を使ったりするのを心がければ、デスクワークが忙しくても、家にこもりがちでも、健康を守ることにつながる。
「仕事や読書に集中するとつい立ち上がることを忘れてしまう人は、飲み物やゴミ箱、スマホなどをすぐには手の届かないところに置くなどの工夫をすると、こまめに体を動かすことができます」(佐々木さん)
日本人よ、いまこそ立ち上がれ!
※女性セブン2021年6月24日号