撮影者は趣味の延長だったかもしれないが、販売者は明らかに違う(イメージ)

撮影者は趣味の延長だったかもしれないが、販売者は明らかに違う(イメージ)

「女性アスリートたちの映像や写真はかなり人気が高かったのですが、報道後に一時的に数は減りました。その代わり、というわけではないかもしれませんが、そうしたサイト上で最近売り上げを伸ばしているのは、小中学生など女の子を盗撮したものです。運動会の隠し撮り、体操発表会の隠し撮りと探せばいくつも出てきます」(AVプロダクション関係者)

 こんな事情を聞き危機感を募らせていたところ、警視庁は6月22日に女子中学生の水泳選手の画像をアダルトサイト上で無断に公開したなどとして、著作権法違反容疑でサイト運営会社の男を逮捕した。前述の関係者が語っていたような隠し撮りの映像や写真を販売するサイトを相当数運営していたと見られ、サイトの広告が主な収入になっていたという。

 筆者も実際にサンプル映像を見せてもらったが、普通に健康的に運動している女の子たちを、クローズアップなどを駆使していかがわしい内容に仕立てたもので、とても直視できなかった。これがネットでは事実上の野放し状態で販売されていると思うと、目眩がするほどであった。被害者は幼く、自身が被害者であることも気がついていないだろう。被害者の親がこれらを目にしてしまったら、卒倒するかもしれない。いったん、ネット上に出回った映像や写真を完全に回収することは不可能という現実を知ったとき、被害者の多くは絶望してしまうのだ。

 また、販売サイトのほとんどは、運営元などがしっかり記載されていないか、拠点は海外にあり運営に簡単に連絡ができないようになっている。他の海賊版サイトなどと同様、罪の意識があるが責任をとりたくないからなのか、最初から逃げ道を準備した状態で運営している点も悪質である。

 盗撮の撮影者は、ある意味で「趣味の延長」だったかもしれないが、販売サイト側はあくまでも商売として、盗撮者と盗撮動画購入者の間に入り、手数料などを受け取ることで収益を得ているとみられる。プラットフォームを提供しているだけだと言い逃れする運営者がいそうだが、取引内容の事態を知りながら対策を怠っているとすれば、被害者から見ると「共犯者」そのものだろう。

 女性アスリートの盗撮問題は大きく取り扱われて非難され、逮捕者も出る社会的問題となった。解決へ向けてすすむその動きは歓迎されるべきものだが、代わりに世間の注目を大きく集めづらく「声を上げる可能性が少ない」一般人、そして子供へと、実際に被害に遭う人たちのボリュームゾーンが移行しつつある。撮らせないために何ができるのか。

 当然、盗撮し販売するような輩だけでなく、こうした映像や写真を販売する機会を提供しているサイト運営側の責任も大きいだろう。盗撮問題は、盗撮する人だけを無くせばよい、という問題ではない。そのビジネスが成り立たないように、PVを稼がせないようにと、こういった問題が浮上すると「サイトブロッキング」が俎上にのせられることも多い。

 被害額2千億円超と言われる漫画村問題のときにも検討された、違法なサイトにユーザーがアクセスできないようにする手法である。だが、一つのサイトへのアクセスを遮断したところで、待っているのは他のサイトが現れては消えるという「いたちごっこ」だ。ブロッキングされる可能性のあるサイトだ、と騒動になっただけでサイトの宣伝になってしまい、被害者が余計に追い込まれてしまうことにもなり得る。

 この問題は、時間をかけて取り組み解決を目指しながら、被害者の回復に心を配らねばならないものだ。せっかちな人には解決法とは思えないかもしれないが、見逃してはならないという社会的な監視が厳しくなることが、もっとも効果が高いやり方なのかもしれない。

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