北海道でも18日連続で真夏日。気候変動か(時事通信フォト)

北海道でも18日連続で真夏日を記録し、過去最長となった(時事通信フォト)

 水害の陰に隠れ、“最も警戒すべき”災害ではなくなったものの、台風のリスクも依然として存在する。特に2019年9月9日に観測史上最大級の台風第15号が千葉県に上陸したことは記憶に新しい。

「この台風は房総半島を中心に大停電など甚大な被害をもたらしました。さらに翌月にも、台風第19号が関東地方を襲って千曲川の決壊や栃木などで犠牲者を出している。9月以降も警戒を緩めてはなりません」(山村さん)

 規模の大きさに加え、近年の台風は猛威を振るう時期も延びている。

「長らく9月までとされていた台風シーズンが、ここ数年は10月まで延びています。これは温暖化で海面の温度が高くなり、南からやってくる台風の勢力がなかなか衰えないことが原因です」(森さん)

 威力を増した水害は、たとえ生活の拠点が川や海から離れていても容赦なく追いかけてくる。防災アドバイザーの岡本裕紀子さんが指摘する。

「2015年9月の関東・東北豪雨では鬼怒川堤防が決壊して、茨城県の常総市に大きな被害が出ました。このとき、決壊地点から約10km離れた常総市役所が水没して、市役所職員や避難してきた市民が孤立しました。水は低いところに流れます。地形にもよりますが、たとえ10kmほど離れている場所でも浸水する可能性は充分にあります。『川から離れているから安全だ』とは言い切れません」

 水害において絶対的な逃げ場となるはずの「高い所」も安全とは限らない。2019年10月、伊豆半島に上陸して東日本に甚大な影響をもたらした台風第19号では、猛烈な風雨によって神奈川県川崎市のJR武蔵小杉駅周辺が水浸しになった。

「このとき多摩川の水位が上がり、排水できなかった水が排水管から逆流して浸水する『逆流浸水』が生じました。その影響で駅近くにあるタワーマンションの地下にあった貯水タンクがあふれ電気・機械室が水没し、停電、断水となりました」(山村さん)

 困ったのはマンションの住人たちだ。トイレが使えなくなったうえにエレベーターが停止し、住人が非常用トイレを使うため最上階の47階から1階まで階段で上り下りする悲劇が生じた。そのうえマンション周辺には汚水を含んだ泥がたまって悪臭を放ち、住人たちはマンション購入時には想像すらしなかったであろう劣悪な環境での生活を余儀なくされる結果となった。

※女性セブン2021年9月23日号

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