スポーツ

ヤクルト高津監督 野村克也氏の教えに自分流のアレンジを加えて大成功

二人三脚で習得した「遅いシンカー」は代名詞に(1995年2月撮影/時事通信フォト)

名将・野村克也氏から「ID野球」の薫陶を受けた高津臣吾監督(1995年2月撮影/時事通信フォト)

 10月26日に6年ぶり8度目となるセ・リーグ制覇を果たしたヤクルトスワローズ。投打がガッチリかみ合い、ベンチでは若手もベテランも声を張り上げる。今年のヤクルトには1990年代の黄金期が再来したような熱気があった。チームを率いる高津臣吾監督(52)は、名将・野村克也氏から「ID野球」の薫陶を受けた“野村チルドレン”。快進撃に導いた「師の教え」とは──。(前編〈ヤクルト高津監督 野村克也氏から受け継いだ「勝ちにこだわる姿勢」〉から続く)

ボヤく野村、叱らぬ高津

 高津氏と野村氏には、関係者が「正反対」と口を揃える一面もある。それが「選手との接し方」である。野村氏の育て方は、

「三流は無視、二流は称賛、一流は非難する」

 というもの。それは、二流までは褒めれば伸びるが、一流は褒めても図に乗るだけだから、的確な批判や非難をして発奮させなくてはならないということだ。一方の高津氏はヤクルトの二軍監督だった2019年2月、『週刊ポスト』の取材(2月8日号)にこう断言している。

〈一番気をつけているのは「野球に関しては叱らない」ということです。叱って学んでくれればいいと思いがちですが、失敗から成功へ導くためには、何がダメだったのかを説明して、選手からも意見を聞くことで、本人が納得して次のプレーに準備できるほうがいい〉

 押しも押されもせぬ主力投手として、野村ヤクルトを支えた川崎憲次郎氏が指摘する。

「ノムさんは理詰めできましたが、ボヤきも多かった。一方の高津監督は選手時代からフレンドリーで、ガミガミ怒ることはしません。元々性格が明るい人だし、ベテランと若手を差別しないタイプなので、選手の輪の中に入ってみんなと同等に接しているはずです。

 一方、グラウンドで理不尽なことが起きれば、選手を守るために激高します。その姿を見た選手たちは、監督は自分たちの味方だと発奮するはずです。特にいまの若い選手にとって、理想の監督ではないでしょうか」

 野村監督時代にヤクルトで活躍した「ギャオス内藤」こと内藤尚行氏も「高津監督は選手の懐に入るのがうまい」と語る。

「ノムさんは選手との間に一線を引いたけど、高津監督は選手の兄貴分のような存在で、選手と一緒に騒いでバカになれるし、相手をうまくイジることができます。盛り上がる雰囲気を上手に作れることが、いまのチーム作りにも生きています。12球団で最も“監督ヅラ”をしない監督だから、選手もそんな指揮官のために頑張れるんじゃないかな。その点はカリスマ性のあった野村監督とは正反対です」(内藤氏)

 企業社会でも上司が若手社員に厳しく接することが御法度となるなか、かつて鉄拳指導が当たり前だったプロ野球の世界でも、令和流の指導が求められている。現に高津氏は二軍監督時代、「叱らずに伸ばす」方針を実践し、村上宗隆や奥川恭伸など有望な若手を入団後すぐに一軍で活躍できる選手に育てあげた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
ドラマ『Believe -君にかける橋-』で木村の妻役で初共演
初共演・天海祐希もハイテンションに! “木村拓哉の相手役”が「背負うもの」と「格別な体験」
女性セブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン