ビジネス

AQUOS復権なるか 65型66万円のプレミアムテレビで再び米国に攻め込むシャープ

シャープが発表した「AQUOS XLED」(写真/シャープ)

シャープが発表した「AQUOS XLED」(写真/シャープ)

「AQUOS(アクオス)」といえばシャープの映像関連機器ブランドとして知られるが、その中心的事業だった液晶テレビは、韓国や中国との激しい価格競争に敗れ、米国市場から撤退するなど長らく低迷した。だが、ここにきて息を吹き返しつつある。はたしてアクオスブランドは再び世界でその名を轟かすことができるのか──。雑誌『経済界』編集局長の関慎夫氏がレポートする。

 * * *
 シャープは10月26日、液晶テレビ「AQUOS」の新シリーズを発表した。「AQUOS XLED」と名付けられたシリーズの最大の特徴は、バックライトにminiLEDを使っていることだ。

 液晶テレビの原理は液晶の後ろから光(バックライト)を当て、液晶部分で光の透過具合を調整することで映像を映す。

 XLEDは、従来の10分の1の大きさのLEDを72倍の個数、設置した。その結果、映像上の暗い部分については、該当部分のバックライトを消すことでより暗く、明るい部分は逆にバックライトを集中的に当てることで明暗の違いをはっきり出せるようになった。

 その中の最上位機種の価格は、85型で176万円前後、65型で66万円前後になると見られている(価格はいずれも店頭予想価格)。今や65型の大型テレビでもネットなどでは10万円以下で売られていることを考えれば、176万円という値段は“破格”というほかはない。

 そしてこの値段からは、XLEDが日本市場だけを念頭においたものではないことがうかがえる。

日の丸テレビメーカーの失墜

 XLED発表の1週間ほど前、日経新聞は「シャープ、来春に米国でTV再参入」と報じ、その後各種メディアが後追いした。

 この報道についてシャープは公式コメントを出さなかったが、XLED発表の席で喜多村和洋・執行役員スマートディスプレイシステム事業本部長は「米国での再参入を検討しているのは事実」と発言。事実上、報道を追認した。

 かつて米国のテレビ市場は日本メーカーの独壇場で、ソニー、パナソニック、シャープなどがシェアを競っていた。

 ところがリーマンショック前後になると、日本メーカーは台頭する韓国・中国製に価格面から太刀打ちできず、急速に存在感を失っていくとともに、テレビ事業そのものが各社のお荷物になっていった。

 そこで日の丸テレビメーカー各社は、それまでの量を追う姿勢を改めて質を追求するとともに、戦線の大幅な縮小に踏み切った。その結果、米国市場からの撤退も相次ぎ、今ではソニーだけがほとんど唯一、米国市場に踏みとどまっているに過ぎない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン