韓国一覧

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日本は世界が憧れる国だと思っていたが……(イメージ)
在日経験のある外国人たちが「日本の没落」を口にし始めているという厳しい現実
 日本は世界でも有数の治安の良さと安定した経済の国で住みやすい、と長らく日本人は信じてきたが、どうやらそれは過去のことになっているらしい。ライターの森鷹久氏が、在日外国人達の本音から垣間見える、日本の「没落」についてレポートする。 * * * 何かにつけ「日本はスゴイ」と自負してきたが、かつてのように豊かで過ごしやすく、世界から憧れられる国ではなくなってきていると、愛国心を標榜するネットユーザーでも認めざるをえないほど、その「没落」を実感しつつある。もっとも、何を持って「貧しい」とするかは人によって見解も大きく異なるだろうが、やはり日本の「格」が落ちつつあることを、かつて日本で働き、暮らした人から聞くと説得力が違う。「日本はもういいです、行きたいとは思いません」 筆者のオンラインインタビューに答えてくれたのは、ベトナム在住の自動車販売会社経営・フォンさん(仮名・30代)。彼は新型コロナウイルスの感染拡大直後までは「技能実習生」として、関東某県の水産物加工場で働いていた。だがコロナ禍によって工場を経営する親会社の業績が悪化すると、勤務日を減らされ、月に十数万円ほどだった給与が下げられたという。 ただでさえ少ない給与がさらに減ることは、フォンさんにとって人生を揺るがす大事件だった。というのも、彼は莫大な借金を背負って日本にやってきていたからだ。 海外からの実習生の中には、多い場合では100万円近い手数料を母国の業者に支払い来日していた人が少なくなかった。フォンさんも、その支払いのために借金をし、来日後に働きながら借金を返すという実習生の一人だったのだ。そもそも外国人技能実習生の募集においてブローカーが介在することは禁じられているし、たびたび摘発もされてきたが、希望通りの国へ確実に派遣される方法としてのニーズは根強くあり、だからこそこうした業者がは今なお存続している。そんな業者を介して希望した日本へフォンさんはやってきていた。 技能実習生の給与は1か月15~20万円ほどだと言われ、そこから社会保険料や所得税・家賃・水道光熱費、滞在先によってはWiFi使用料等が差し引かれるため、手取りは十数万円というケースが多い。決して高給取りではないところに、コロナ禍で仕事が減って給与が削減されると、母国で待つ家族への送金はおろか借金も返せなくなってしまった。明日食べるものにも困る実習生が相次ぎ、犯罪に手を染めるものがいたことは、読者もご存知の通りだろう。 コロナ禍で技能実習生の窮状が伝えられ始めた頃、不正を働いて金銭を得ようとする外国人を取材するため、SNSで見つけたアカウントのひとつにメッセージを送ったのが、筆者とフォンさんの接点だ。筆者が初めてフォンさんのSNSアカウントを発見した時、そこには日本円の札束や、スマホに挿入して使用する大量の「SIMカード」の写真などが投稿されていた。言葉で明確に記しているわけではないが、特殊詐欺などのを行う犯罪グループが、身元の特定を防ぐために、不正に入手したSIMカード用いること思うと、後ろ暗い交友関係によるサイドビジネスを始めていることがうかがえた。「友達にスマホを何台も契約させて、それを転売しました。販売先はおそらく日本のマフィア。でもお金になるから気にしなかった。来日していたベトナムの友達だけでなく、フィリピンとかタイとか、いろんな人にも声をかけ、お金を儲けました」(フォンさん) フォンさんにとって、日本は憧れの国だった。日本旅行を経験した両親から「日本人はみんな優しい」「街はどこも綺麗で未来的」と聞かされて育ち、日本人のファッションを真似たり、日本のテレビを見て漫画を読み漁った。だが、実際に来日して、お客さんではなく働く一人にとって、日本という国や日本人は優しくないことを思い知らされ、日本に裏切られたような気持ちになった。「コロナになってからの日本人は、さらに優しくなくなった。お金もくれない、差別もするから、ベトナム人だけでなく外国人(実習生)みんなが日本を嫌いになりました。だから、悪いことをしてもいいと思うようになった。お金だけ稼いで、早くベトナムに帰ろうといつも話していた」(フォンさん) フォンさんははっきりと語りたがらないが、SNSの投稿を見る限り、スマホの不正入手や転売だけでなく、日本国内で使用される身分証明書の偽造にも関わっていたようだ。こうした犯罪は、日本人の首謀者がいて、弱い立場の外国人が実際の任務を請け負う場合がほとんどだが、そのなかでもフォンさんは実行部隊のリーダー格だったと思われる。母国出身者や同じ実習生の外国人を集めて犯罪行為を促し、リーダーとして割り増しの報酬を確保していたと見られる。事実、誰の名義かまではわからないが、フォンさんは日本滞在中にトヨタの四駆を乗り回し、在日同胞に高級焼肉を振る舞ったり、旅行に連れていった際の写真を多数アップしていた。 SNSアカウントに掲載されている、フォンさんと一緒に写真にうつる外国人の中には、北関東エリアにおいて農作物や家畜の窃盗に手を染め、逮捕された容疑者の顔もある。彼らは、日本人から見れば外国人による「組織犯罪グループ」そのものである。しかし、フォンさんには罪の意識がほとんどない。それはやはり、日本への失望があったから、そして自分達を見下す日本人に「やり返したい」という気持ちがあったからに他ならない。「このまま日本にいては死ぬと思った。だから少し悪いことでもやって、お金を貯めて国に帰った。人を殴ったりはしていない。そのお金で、車の会社を始めた。いい人もいたが、ほとんどの人が外国人をバカにした。日本への憧れはないし、今は嫌い。二度と行きたくない」(フォンさん) 窮した在日外国人が違法と脱法を繰り返している実情は極端な例かもしれない。そんな人の日本観を聞いても極論だと思うかもしれないが、もっと余裕があるはずの外国人の言動からも「日本の没落」を感じる瞬間が増えてきた。 コロナ禍に収束の兆しが見え、韓国や中国人たちが「コロナ明け、日本に旅行に行きたい」というインタビュー映像がテレビで放送されているのを、筆者は眺めていた。筆者の中国人や韓国人の友人も「早く日本に行きたいねと」言ってくれるから嬉しい気持ちになったが、詳しく話を聞くと、以前の感情とは少し違うらしいことがわかる。「日本に行って欲しいものは薬くらい。食事やショッピングは中国の方が充実しているし、似たような顔の日本人が、中国とは全く違う文化の中で生活しているのが面白い。あと、日本人は気が弱いから、他の国に行くよりも自由さを感じられる。女の子も、自然な感じで小さくてかわいいしね(笑)。あと、上海より何もかも安い。それこそ、夜の遊びは上海の半分以下で楽しめる。中国のあまりお金を持ってない人でも、日本に行けばたくさんモノを買える」 こう話すのは、上海在住の中国人の友人だ。欧米へのコンプレックスと、でも中国は今ではアジアで一番なのだという自負が混ざった、正直な言葉だろう。彼に悪気はないのだろうが、日本人の筆者としては正直なところ、面白くはない。さらに「日本の安さ」を指摘されると、アジアナンバーワンを自負していた日本の没落を嫌というほど痛感するしかない。さらに、韓国人の友人はもっとはっきり、我が国の没落を指摘する。「昔は日本に憧れていたけど、今は同じか、少し韓国の方が勝っているんじゃないかと思う。音楽やファッションなど最新文化では、完全に日本を追い越しているように感じるし。日本で働きたいという韓国人は、以前は多かったし僕もそうだったけど、今はそう思わない。韓国でも若い人は給料が低いけど、日本人ほどじゃないし」 若者は高学歴でも仕事がなく稼げない自国の経済状況を「ヘル韓国」と自嘲し、だから日本で働きたいと言っていた数年前が嘘のようだ。もちろん韓国の若者たちの生活だって厳しいし、それ故に出生率も日本同様に低水準だ。それでも日本よりもマシなのだと彼らは思っていることが伝わってきた。 日本が「格下」になったという認識は、外からの目だけではない。長年、いわゆるネット上の「保守業界」をウォッチしてきた筆者が感じているのは、特に中国や韓国を見下すような言説が、以前ほどコンテンツとして消費されなくなってきていることだ。ただ残念ながら、こうした業界周辺が「差別的」ではなくなった、ということではない。あのムーブメントこそ、今思い返してみると「先進国」らしさを少しでも抱いていたいという、歪んではいるものの「プライドの残滓」だったのかもしれない。事実、当時より日本が進歩した、成長したと思われる部分は、現在何一つない。 コロナ禍収束の兆しが見え始め、新たな国際社会の序列、図式を目の当たりにした時「負けていられない、頑張ろう」と思える、底力のある日本人がどれほどいるのか。別に「外国人に好かれようとすべき」とは思わないが、日本を嫌いになり、見下す外国人が目立ち始めていることは確か。厳しい現実ではあるが、この事実から私たちは多くのことを学ばなければ、未来はない。
2022.07.04 16:00
NEWSポストセブン
5月21日放送の「原発事故と甲状腺がん」が批判を浴びたのはなぜか(Tverより)
TBS『報道特集』「原発事故と甲状腺がん」の問題点 語られなかった科学的事実【後編】
 約1か月前に放送されたTBS系『報道特集』内の特集「原発事故と甲状腺がん」。放送直後から、内容に「事実誤認がある」などと批判が巻き起こった。番組は、2011年に起きた原発事故の放射線被ばくにより甲状腺がんを患ったとして、男女6人が東京電力を訴えた裁判が始まることを報じたもの。放送内容のどこに問題があったのか。【前後編の後編。前編から読む】韓国では検査で「甲状腺がんが最多」に 海外の例も参考に考えたい。2014年に米医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に韓国のHyeong Sik Ahn博士が発表した論文によると、韓国では2000年頃からがん検診のオプションで安価で甲状腺検査が受けられるようになり、検査を受ける人が激増した結果、甲状腺がんと診断される人が1993年に比べて2011年は15倍に達し、韓国人のがんの1位に躍り出た。 患者のほとんどが摘出手術を受けたが、この早期発見・早期治療により、甲状腺がんでの死亡率が下がったかと言うと、まったく下がらなかった。つまり、甲状腺がんには早期発見・早期治療が大事とするがん治療の原則が当てはまらないのである。それどころか、手術に伴う合併症で、副甲状腺機能低下症や声帯麻痺を起こす人も少なからずいたという。 前述のUNSCEARの報告書でも、「過剰診断の有害性は放射線被ばくの有害性を上回る可能性がある」と警鐘を鳴らしていて、世界保健機関(WHO)の外部機関である国際がん研究機関(IARC)も、放射能事故後であっても全員を対象とするような甲状腺検査は推奨しないと提言している。 とりあえず甲状腺検査をして、がんがみつかっても手術をせずに経過観察をすればいいとの考え方もあるが、高野医師は検査そのものが有害だという。「一度がんと診断されてしまうと、一生不安を抱え続けるだけでなく、生命保険や医療保険に入れなくなったり、結婚や就職で差別を受けたりと、デメリットが多すぎます。 子供の甲状腺がんは自覚症状が出てからでも治療は間に合にあうので、わざわざ小さながんを見つける必要はありません。あまり小さなうちにみつけてしまうと、甲状腺の大部分を残す縮小手術が選択されがちになりますが、子供の甲状腺がんは手術をした後での再発が多いという特徴があります。縮小手術をした場合、再発の可能性はより高くなります。すなわち、大きくなってから治療すれば一度で済んでいたはずの手術を何回も受けなくてはならないかもしれないのです。 そうかといって、再発が怖いからという理由で全摘術を受けた場合、一生甲状腺ホルモン剤を飲み続けなければなりません。このようなジレンマを抱えてしまうのです。また、命に関わるような未分化がんは子供には発生しません」(高野医師) 福島での検査で30万人から約300人の甲状腺がんがみつかったように、無作為の検査をすれば99.9%の人は問題なしと診断されて「安心」を得られるかもしれないが、甲状腺がんがみつかった0.1%の人は極めて大きな不利益を被ることになるのだ。「誤報」の非難も また、前述の『報道特集』が「福島県は過剰診断だと主張している」と伝えたところ、ネットでは「誤報だ」という批判が相次いだ(翌週5月28日の放送で訂正)。 県が過剰診断だと主張している証拠として、番組では「県民健康調査における中間取りまとめ」(2016年3月)にある〈将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがんを多数診断している可能性が指摘されている〉という一文をクローズアップして映していた。その一文のあとには、過剰診断という指摘があるが、現段階では被ばくの影響を完全には否定できないので、検査による不利益を伝えながら、今後も〈継続していくべきである〉と書かれている。そこまで読まなかったのだろうか。県が主体で実施している検査で過剰診断だと考えているのなら、とっくに検査をやめているはずで、つじつまも合わない。「いくら過剰診断だと指摘しても、県は検査をやめようとしない。事故直後で混乱している時期に、『甲状腺がんは増えていないから大丈夫だよ』と言うために検査を始めてしまったのは、やむを得なかったと思います。 しかし、予想外に多数の甲状腺がんがみつかって混乱を招いた後、検査は過剰診断を招くだけで、調査する意味もないことがわかったわけです。仮に放射線被ばくが原因だったとしても、子供の小さながんを検査でみつけだすのはデメリットしかないことに変わりはないので、もう検査はやめるべきです」(高野医師) 県による甲状腺検査はあくまで任意なので、「検査を受けない」という選択肢はある。ただ、学校での集団検診は同調圧力を生む懸念が拭えない。福島県県民健康調査課に訊いたところ、現在も学校での集団検診は実施していて、検査自体も「2年ごとに検討委員会を開いて実施を決めています。次回については未定です」という。 原発事故がなければ、甲状腺検査が始まることはなかった。検査で甲状腺がんがみつかり、手術をした後も心身の不調に苦しむ訴訟の原告らが被害者であることは間違いなく、何らかの補償があってしかるべきである。しかし、問題の本質を見誤れば、救われるべき人も救われなくなる。“弱者に寄り添う”だけでは、メディアの役割は果たせない。【後編、了。前編から読む】●取材・文/清水典之(フリーライター)
2022.06.26 11:02
NEWSポストセブン
男女共同参画会議で発言する岸田文雄首相(右から2人目)。右端は野田聖子男女共同参画担当相(時事通信フォト
配偶者控除の次は何が見直しか 「男女共同参画白書」をきっかけに広がる不安
 20代男性の約7割、女性の約約5割が「配偶者や恋人がいない」という調査結果が話題になった令和4年版『男女共同参画白書』(内閣府)だが、社会や人間関係の変遷を調査・分析するだけでなく、社会保障費の削減を推進するための布石がいくつもちりばめられていた。その代表的なものが、配偶者控除の見直しである。俳人で著作家の日野百草氏が、配偶者控除の廃止が生活や人生を左右する人たちの本音を聞いた。 * * *「いよいよ来たかという感じです。配偶者控除、いずれ無くなるのでしょうか」 6月15日、パートタイムで働く複数の女性たちから異口同音に尋ねられたニュース報道。それは「配偶者控除の見直し」という名の「配偶者控除廃止」への布石ともとれる『令和4年版 男女共同参画白書』(以下、白書)の中身である。前出の問いかけはドラッグストアのパートをしている二児の母親である。医薬品登録販売者の資格を取得しているが、正社員の夫の扶養内、つまるところ配偶者控除が受けられる「103万円以内」で働いている。もっとも、こうした扶養内で働くパートの母親たちの意見はおおむね共通しているため、以降の話者はA子さんやらB美さんのようにはせず、聞き及ぶままに声なき声をまとめ起こすこととする。また専業主婦という言葉には専業主夫も内包していることもあらかじめ断っておく。またどのように働くかの選択は誰に強いられることも妨げられることもあってはならない自然権であり、そうした労働の自由もまた日本国憲法で保障されている。 さっそくだが件の『男女共同参画白書』を開く。白書の冒頭、本件の担当大臣である自民党、野田聖子内閣特命担当大臣が「男女共同参画白書の刊行に当たって」を寄せている。その中では「男性が働き、女性が家庭を守るというかつての家族像はもはや標準ではなく、女性の人生と家族の姿が多様化しています。そうした社会の変容も念頭に置きながら、迅速に対応する必要があります」と記されている。そして次の特集『人生100年時代における結婚と家族 ~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~』と題した導入部、各報道機関でも報じられて話題となった、衝撃的な一文が記されている。〈もはや昭和ではない。昭和の時代、多く見られたサラリーマンの夫と専業主婦の妻と子供、または高齢の両親と同居している夫婦と子供という3世代同居は減少し、単独世帯が男女全年齢層で増加している。人生100年時代、結婚せずに独身でいる人、結婚後、離婚する人、離婚後、再婚する人、結婚(法律婚)という形を取らずに家族を持つ人、親と暮らす人、配偶者や親を看取った後ひとり暮らしをする人等、様々であり、一人ひとりの人生も長い歳月の中でさまざまな姿をたどっている。このように家族の姿は変化し、人生は多様化しており、こうした変化・多様化に対応した制度設計や政策が求められている〉 筆者もまた、いよいよかという思いである。「ひとり親世帯や単独世帯の増加等、家族の姿が変化しているにもかかわらず、男女間の賃金格差や働き方等の慣行、人々の意識、様々な政策や制度等が、依然として戦後の高度成長期、昭和時代のままとなっていることが指摘されている」という前書きに続くこの一文は、日本政府がいよいよ「人生の多様化」という名目で控除制度、とくにサラリーマンの配偶者に対する配偶者控除および配偶者特別控除(特別控除については後述する)を本格的に見直そうとしている証左と確信する。保育所探しも含めて大変なお母さんが多い 2014年の安倍内閣による「ニッポン一億総活躍プラン」いわゆる「一億総活躍」のときも配偶者控除を縮小または廃止が検討された。忘れている方も多いかもしれないが、安倍晋三内閣総理大臣(当時)は「女性が輝く社会、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、誰もが生きがいを感じられる『一億総活躍社会』を創り上げます」と2017年11月17日の総理大臣所信表明演説で宣言した。退任したいまとなっては、の話だが、配偶者控除見直しもまた教員免許更新制度(これは第一次安倍内閣だが)と同様に置き土産に置いていった。ちなみに同時期に「日本再興戦略2016」と題して「名目GDP600兆円に向けた成長戦略」(いわゆる「アベノミクス」)をぶち上げたが、これまた2020年の内閣総辞職による日本経済再生本部の廃止とともに「いまとなっては」の話になってしまった。「子どもたちとなるべく一緒にいてあげたいし、それでも私は働きたい。物価も上がっていますし、子どもたちのいま現在はもちろん、将来的な資金も必要です」 政府が「人生の多様化」とするならこうした声も多様な中のひとつ、この母親もまた子どもが小さく、夫も激務でコロナ禍ながら終電近くまで働いていると語る。都心の核家族にはよくある形で、保育園にあずけているとはいえ、それ以外の母子の時間は大事にしたいという。ごく普遍的、かつ素朴な意見だろう。他にも例えばの話として、子どものために専業主婦でいたい、もしくは働きたいけど子どもと一緒にいる時間が欲しいから配偶者控除の適用内、子どもが大きくなったしもっと働きたくなったから配偶者特別控除、もちろん扶養を外れてフルタイムで働く母親もあるだろう。重ねるがその人それぞれの自由である。 また、子どもが障害を抱えていたり、母親自身が働くに難しかったりする場合もあろう。介護が必要な家族がいるから控除内で働く、といった多種多様な家庭の姿はまさしく「家族の姿は変化し、人生は多様化しており、こうした変化・多様化に対応した制度設計や政策が求められている」とした白書の文言そのままのはずだが、なぜか配偶者扶養を筆頭とした「国(一部企業)が負担する話」となると白書に恣意的ともいえる「指摘されている」「考えられる」といったエビデンスの不明瞭な「感想」が並ぶ。〈税制、社会保障制度、企業の配偶者手当といった制度・慣行が、女性を専業主婦、または妻は働くとしても家計の補助というモデルの枠内にとどめている一因ではないかと考えられる〉(白書・P23) この一文などまさにそれで、働き方も家庭も様々であることを謳っておきながら、いざ配偶者控除の話となると「控除があるから長く働かない」という話に落とし込む。この一文は余計なことに「企業の配偶者手当といった制度・慣行」という民間企業が社員にあてている家族手当までをも巻き込んでいる。もっと凄いのが「夫の所得階級が高くなるほど妻の有業率が低くなり、特に夫が30~39歳かつ子供のいる世帯でその傾向が顕著である。これは、社会保障制度等の昭和の時代の制度が、高所得者層に恩恵を与えている一例である」(白書・P24)という一文である。「一例である」という括りも凄いが、別に所得階級が高いから有閑マダム(あえて昭和っぽく書く)というわけでもあるまい。それこそ先に筆者が示した通り、夫婦、子育て、介護が様々であるのと同様に働き方、生き方もそれぞれのはずだ。それをどこかで集約するのが政治の役割であることは承知しているが、配偶者控除を含めた福祉の切り捨てへの足がかりの言い訳に使われるのはどうだろうか。「私は子どもを祖父母が見てくれているので配偶者特別控除の範囲で働けていますが、他のお母さんは保育所探しも含めて大変ですよ。働く時間も制約されるでしょうし」 保育所問題に関してはとくに地域差があり、地方の多くは少子化と人口流出により保育所に余裕がある地域が増えているものの都市部、とくに都心部はいっこうに解決をみない地域も多い。いわゆる「待機児童」問題だが、例えば東京都だと世田谷区や江戸川区は待機児童ゼロを実現したとされるが、町田市や小平市、タワマン乱立の中央区などは待機児童数ワーストに上がっている。またいずれも「潜在的待機児童」の解決には至っていない。この一例をみても、「女性を専業主婦、または妻は働くとしても家計の補助というモデルの枠内にとどめている一因」と言えるとしたら、この国の一般国民に対する家族政策は(いまに始まった話ではないが)じつに「あやしい」としか言いようがない。 そもそも配偶者特別控除は「配偶者控除」の年収103万円以下を「配偶者特別控除」では201万円以下とし、所得金額に応じた控除を適用する所得控除のことだ。個別の詳細は本旨でないため省くが年間48万円以内の所得(「収入」ではなく「所得」である)の場合の適用が「配偶者控除」で、年間48万円以上133万円以内に適用される。また扶養者の所得金額が1000万円を超えると配偶者であっても適用外である。「今年はたぶん手取りが減ると思います。厚生年金の加入対象になるみたいなんで」 その扶養の中には「106万円の壁」というものもある。年収106万円以上(いわゆる月額賃金8.8万円)、週20時間以上、勤務期間1年以上(見込み)、従業員501人以上の企業(労使間の合意があれば501人未満も可)、学生でない、というこの5条件をすべて満たす場合は厚生年金に加入しなければならない。会社側が半分負担する上に将来的な年金の本人受け取り額は上がるが、当然ながら手取りは減る。それが今年の2022年10月から従業員101人以上の企業にも適用されることになる。2024年10月からは51人以上の企業にも適用される予定のため、事実上の配偶者控除廃止に向けた布石と言える。配偶者控除廃止の次はサラリーマン控除廃止か「子育てや介護はそんなに簡単でフルタイムで働きながらでもできる、努力すれば金はいくらでも稼げると、本当に国は思っているのでしょうか」 この言葉は子どもを育て、義母を17年間介護した60代女性の言葉で重い。コロナ禍以前までは「経済評論家」「○○総研」あたりの中に「扶養から外れれば労働時間や収入額を気にしなくて好きなだけ働けます、そうすれば責任ある仕事を任されてキャリアアップもできます」「サラリーマンの妻だけが優遇されて、その妻の労働力を生かせないのはもったいない」などと書き立てる者もいた。別にパートや非正規でも責任ある仕事を任されている人もあるし、後者に至っては何の上目線かわからないが余計なお世話である。 しかしこの余計なお世話、今回の白書により政府の方針としての「余計なお世話」に取り代わっている。〈配偶者の収入要件があるいわゆる配偶者手当については、税制・社会保障制度とともに、就業調整の要因となっているとの指摘があることに鑑み、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう、労使に対しその在り方の検討を促すことが重要であり、引き続きそのための環境整備を図る(厚生労働省)〉(白書・290P)。 なぜか小さく書かれているこの文言、つまり企業に対して「会社が家族手当を出すから社員の女房が働かないなんとかしろ」ということか。本当に大きなお世話である。「テレワークだからフルタイムでも子育てできるでしょうって、エッセンシャルワーカーには無縁ですし、電車の混み具合を見ると出社する形に戻っているのではないでしょうか」 冒頭のドラッグストアで医薬品登録販売者として働く女性の話、都心の混雑はラッシュ時に限れば戻りつつある。エッセンシャルワークを始めとする対面仕事や現場仕事でテレワークを実現するのはまず無理、事務方でも中小企業を中心に出社体勢に回帰する企業が増えている。しかし白書では、〈コロナ下で、テレワークの浸透や在宅勤務等、働き方が多様化し、コロナ前に比べ、平日に自宅で仕事以外に使える時間が増えるなど、男女ともに家庭と仕事の両立をしやすくなった人が増加している〉(白書・P98) としている。以降のP100、P101にその根拠となる表が掲載されているのだが、比較は2019年12月から2021年10月までで、それは増える結論になるだろうという当たり前の表である。コロナ禍が一時的にピークアウトしたとされる2020年12月ごろのテレワーク率は下がっているのに。これを以て恣意的とまでは言わないが、「男女ともに家庭と仕事の両立をしやすくなった人が増加している」と大きく結論づけるのはどうかと思う。 また白書の引用資料として使われている中のひとつ、「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(内閣府・2021年11月1日付)の「地域別・企業規模別のテレワーク実施率」を見ると「増加している」としたテレワークに関して就業者1000人以上の企業では46.7%に対し300人から999人の企業で32.4%、30人から299人の企業で26.7%、2人から29人の企業となると20.9%となっている。 もちろんいずれも2019年12月のコロナ前よりは大幅に増えているのだが、このテレワーク実施率の中には「定期的にテレワーク(出勤中心50%以上)が20%から30%含まれている。対して「テレワーク(ほぼ100%)」は10%から20%程度。これで「男女ともに家庭と仕事の両立をしやすくなった人が増加している」は無理がある。 また今回ヒアリングした扶養範囲内で働く女性の中にはいなかったが、筆者の友人の話として「転勤家族はどうなる」という話もあった。小さな子どもを抱えて見知らぬ土地についていく配偶者にとって近年の控除枠の縮小はもちろん、先々の控除廃止ともなればさらに厳しくなることが予想される。もちろん自分自身で厚生年金に入れば将来の年金も増えることは白書で重ねて説明されているが、コロナ禍はもちろん重税に次ぐ重税と本年中に1000品目予定されている値上げ、そもそも肝心の平均賃金そのものが30年間上がらぬままに韓国どころかスロベニア以下、平均時給はキプロス以下という事態に陥った日本とその張本人である政府自民党が力説しても、今回の白書同様に信用度は限りなく低い。「『扶養控除があるから女性が働かない』という言い方はおかしいです」 最後に正社員で働く女性の意見、彼女は配偶者としての控除を受けておらず夫とともにフルタイムの共働きだが、だからといって子持ちのパートや家族介護に従事する配偶者の方々の控除を削減しろ、控除をなくせとは思わないという。「だって、次はサラリーマンの控除廃止ですよ。言い訳はいくらでも作れるでしょう」 なんだかナチスドイツ時代の聖職者、マルティン・ニーメラーの「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」のようだ。ナチスが共産主義者を襲い、ユダヤ人を迫害し、労働組合を弾圧するたびにドイツ国民は「ざまあみろ」と思っていた。しかし後にニーメラー自身もまた聖職者として排撃され、そのドイツ国民そのものも悲惨な運命を辿ったことは歴史の事実である。コロナ禍における「令和の魔女狩り」で私たちはそれを知ったはずだ。ライブハウスからパチンコ屋、夜の街、居酒屋、若者とコロナウイルスまん延の犯人とされては叩かれた。いまとなっては何だったのかという話、為政者が一般国民の中に「ずるい奴がいる」「得している奴がいる」を作るとき、それは自分たちに敵意が向かないためと何かを隠す時であり、「配偶者控除はずるい」「専業主婦はずるい」の裏にはそうした作為が隠れている。次はサラリーマンの控除廃止、先々の年金制度廃止につながるかもしれないのに。この国はさらなる税負担と各種控除の削減、そして社会の不寛容につけ込んだ自己責任論による階層の固定を目指している。つまるところ、切り捨てるだけ切り捨てた上で中流国への着地を試みている。筆者は悲観的だ。だからこそ端緒に声を上げるべきなのだ。 これを機に、ぜひみなさんも内閣府の男女共同参画局ホームページで公開している『令和4年版 男女共同参画白書』をダウンロードして読んで欲しい。そこに書かれた内容と、そこから辿る資料とで、この国が一般国民をどうしたいのかが見えてくる。今回はある意味、国も本音で書いているともいえる。もはや美辞麗句を並べるほどの余裕もないということかもしれないが、実際に白書を読んで筆者と同様の感想を持つのもいいし、「そんなことはない」「この国は素晴らしい」と思うのも自由、とにかくこの国の一大転換を宣言したことは間違いない白書なので、本当に読んで欲しい。なぜ「もはや昭和ではない」なのか、なぜ「もはや平成ではない」ではないのか、悪い意味で疑問、疑念が見えてくるに違いない。 そもそも「依然として戦後の高度成長期、昭和時代のまま」とは、誰の責任なのだろう?【プロフィール】日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。社会問題、社会倫理のルポルタージュを手掛ける。
2022.06.25 16:00
NEWSポストセブン
男性も虜になった『愛の不時着』
中年男性が韓国ドラマにハマるワケ 「設定はアホらしくても話に現実味」という魅力
 韓国コンテンツ振興院の試算によると、2021 年の韓国コンテンツ輸出額は 5 年前の倍に相当する115億ドルに達するという驚きの結果になった。韓国コンテンツは今や日本だけではなく、世界中から注目される存在へと成長している。”女性に人気”というイメージが根強くあるが、実は男性でハマってしまう人も少なくないという。老若男女問わず人気が広がる理由は一体どこにあるのか? 韓国コンテンツ惹かれる男性たちの声を取材すると、意外な理由が明らかになった。 55歳の男性は目を輝かせながら「韓国ドラマは、僕の願望を叶えてくれるんです」と話す。「コロナ禍で家にいる時間が増えたのでなんとなく見始めたら、『梨泰院クラス』にハマってしまった。以来延々と韓国ドラマを見続けています。時間がいくらあっても足りないですね。 なんといってもたまらないのは、主人公パク・セロイ(パク・ソジュン)を慕うヒロインのイソ(キム・ダミ)。彼女は頭が切れて仕事が猛烈にできる女性ですが、そんな彼女に『この人(パク・セロイ)を傷つけるやつはみんな潰すと心に誓った』と言われるセロイが、心からうらやましくて仕方ない。見ているだけでも『できる女に愛されたい』という欲求が満たされます(笑)」「恋愛の勉強になる」と話すのは、56歳の男性だ。「60代が目の前に見えてきた今、ふと人生を振り返り寂しくなる瞬間があるけれど、そんな時、人生の糧になってくれるのが韓国ドラマです。 特に恋愛モノは脳内で自分を主人公に置き換え、自分だったらヒロインに対してどこまで優しくなれるのかをシミュレーションして遊んでいます。現実的に使う使わないは別として……いつか訪れるかもしれない恋愛の勉強になる(笑)。 相手に対する敬意や美しい上下関係が描かれているのも韓国ドラマならでは。心に響くセリフも多く、テレビ画面を止めてセリフを携帯のメモに書き留めています。ふとしたときに見返すのも楽しみのひとつです」「女性との会話を楽しむ最低限のマナー」と話す人も。51歳の会社員は、したり顔でこう明かす。「韓国ドラマに個人的にハマっているというよりは、キャバクラやバーでのナンパの“和みトーク”に生かしています。『愛の不時着』も『梨泰院クラス』も、ぼくが見たのは3話まで。でもこれも作戦のうちです。女の子と話すとき、『まだ3話までしか見てない』っていうと、『えー!そこから面白くなっていくのに!』みたいな感じで、相手の話したい欲求がマックスになり、聞き役に徹することができるというわけ。これで結構、モテてますね」コロナ禍によるサブスク普及がきっかけに 韓国エンタメライターの田名部知子氏は、韓国ドラマが女性ファンだけではなく男性ファンからも支持されるようになった理由をこう分析する。「コロナ禍をきっかけに私たちの生活には動画配信のサブスクが欠かせないものになりました。これまで韓国ドラマに興味のなかった男性層も韓国コンテンツに触れる機会が増え、『愛の不時着』をはじめ、『梨泰院クラス』『ヴィンチェンツォ』のような、男の野心や仲間と目的を成し遂げる”お仕事系”作品を通して、”韓国ドラマは女性のもの”というこれまでの偏見が崩れたのでしょう」 俳優の演技力、脚本力、演出力の高さも人気コンテンツとして成長した理由の一つだという。「『愛の不時着』のように、北朝鮮にパラグライダーで不時着したら恋に発展……といったかたちで韓国ラブストーリーの設定は近年ますます壮大化しています。恋した相手は北朝鮮人のほかにも、宇宙人、人魚、ロボット、クローン、神様など、ユニークを超えてアホらしいほどの設定なのに、見ているうちに『え、待って。これ、ありえるかも!!』と、視聴者をその世界へグイグイ引きこんでいくだけの説得力と作品力がある。 要は脚本と演出がよくて、俳優の演技力が高い。一歩間違えると完全にチャチなものになってしまうところを、世界観を丁寧にきちんと作り出している脚本のうまさと、ディテールにこだわり、サブキャストたちにも生き生きと生命力を与える演出が素晴らしい。高いレベルの世界観が完成されています」(田名部氏) 7月7日からは『梨泰院クラス』を日本バージョンにリメイクした『六本木クラス』(テレビ朝日系)が始まるが……田名部氏はこう懸念する。「苦笑作で終わるか、『梨泰院クラス』とはまた別ものの良作、大作として後世に残るか。日本ドラマの今後がかかっているといえるでしょう。女性視聴者だけではなく、韓国コンテンツの摂取により目の肥えた男性視聴者たちをも納得させることができるのか、注目ですね」
2022.06.24 16:00
NEWSポストセブン
米ホワイトハウスで記者団の取材を受ける韓国の人気男性音楽グループ「BTS」(AFP=時事)
BTS活動休止騒動の背景に兵役問題 メンバーが避けたかった「国との関係悪化」
 2年連続でグラミー賞にノミネートされ、YouTubeの登録者数は6830万人──世界を股にかけて活躍するBTSが広げた波紋はますます広がっている。6月14日、公式YouTubeチャンネルで、今後しばらく7人がソロ活動に専念していくと涙ながらに語ると、メディアは一斉に“活動休止”だと報道。その後、所属事務所の「HYBE」は、メンバーはソロプロジェクトに集中するだけで、活動休止ではないと訂正した。 ファンを嘆かせたのは、活動休止という“誤報”以上に、彼らが漏らした「疲れた」という本音だった。「彼らの気持ちは痛いほどわかります」と話すのは、韓国の芸能関係者だ。「世界中を移動しながら活動していることもあって、スケジュールがとにかくタイトです。それがたたってここ数か月は、メンバーらの現場入りが遅れることもあった。それに休んだり遊んだりする時間がないので、会話の相手はメンバーのみ。仲は相変わらずいいですが、とにかく外部との接触が極端に少なく、息が詰まる思いをしていたようです」 14日の動画でも、RMはK-POPアイドルという在り方に疑問を呈していた。「『韓国のアイドルというシステムは人間を成熟させない』と言ったのです。これに活動を通じて彼らの成長を見守ってきたつもりだったファンは、言葉を失いました」(前出・韓国の芸能関係者) 率直な告白が続いたが、1時間に及んだこの日の動画では明かされなかった事実もあった。それは、韓国に生まれ育った男性にとって避けては通れない兵役についてだ。 韓国では18才から28才までの健康な男性には、約20か月に及ぶ兵役の義務が課せられている。BTSではJIN(29才)が最年長ですでに28才を超えているが、まだその義務は果たしていない。それは、2020年に“BTS法”と呼ばれる法律が成立し、期限を2年間延長しているからだ。JINは今年12月に30才の誕生日を迎える。延ばしたはずのデッドラインはすぐそこまで迫っているのだ。「この2年のうちにグラミー賞を受賞できれば、『世界で活躍するため』という大義名分のもと、兵役を免除される可能性がありました」(前出・韓国の芸能関係者) しかし、グラミー賞には2年連続でノミネートされたものの、受賞には至らなかった。「国の仕組みのために活動を休止すると発表したら、世界中のファンは韓国政府や韓国という国そのものを批判するでしょう。ソロとして活動していく以上、メンバーは国との関係を悪化させたくなかったのです」(前出・韓国の芸能関係者) 何はともあれ、活動休止は避けられた。ソロ活動に集中した後は、いままで以上の輝きを見せてくれるに違いない。※女性セブン2022年7月7・14日号
2022.06.24 07:00
女性セブン
北朝鮮史上初の女性外相となった崔善姫氏(写真/共同通信社)
北朝鮮が初の女性外相・崔善姫氏を登用 対米強硬の姿勢加速、対日警戒も強化か
 北朝鮮の人事刷新で、極東情勢が揺れている。金正恩総書記率いる朝鮮労働党は、6月8~10日に開催された中央委員会総会で、崔善姫第一外務次官を外相に任命した。韓国統一省によると、崔氏は57歳。2018年と2019年の米朝首脳会談で実務の中心を担った米国通で、北朝鮮史上初の女性外相となった。「海外留学経験もあり、英語と中国語を自在に操る才女です。崔永林元首相の養女とされており、過去には金正恩の英語の家庭教師をしていたという情報もあります。 2007年に通訳として同席した6か国会議で、当時の外務次官(金桂冠)の隣で大あくびをする姿が報じられており、あまりに尊大な態度から権力者の令嬢ではないかという見方は当時からありました。なお崔氏の前任の外相・李善権氏は対韓国政策を担う党統一戦線部長に就きました」(在韓ジャーナリスト) この人事について、北朝鮮による米国との対話再開の布石と見る報道もあったが、「現実は逆だろう」と話すのは、半島情勢に精通する大韓金融新聞東京支局長の金賢氏だ。「崔氏の登用で、むしろ対米強硬の姿勢が加速すると見られています。前任の李氏は軍人出身で外交手腕に乏しく、米国をうまく揺さぶることができなかった。今後は対米外交に精通する崔氏を通じて、妥協なき強硬姿勢を正しく伝えていくつもりだとされているのです」 そう話す金氏は、崔氏の背後に北朝鮮の“女帝”の影を見る。金正恩氏の妹・金与正労働党副部長である。「与正氏と崔氏は非常に密な関係だとされています。崔氏は2021年9月に国務委員を解任され、一度は政府中枢から退きましたが、その間は与正氏と行動を共にしていたと言われていた。与正氏は対米強硬派で知られており、今後の崔氏の外交政策には与正氏の意向も深く関わってくるでしょう」(同前) 6月6日に米軍と韓国軍が地対地ミサイル8発を日本海へ発射したと発表。前日に北朝鮮が日本海に向けて短距離弾道ミサイル計8発を発射したことへの対抗措置で、極東情勢の緊張は高まる一方だ。「与正氏は4月、仮に韓国から自国への先制攻撃があれば核で反撃するという談話を出しています。日本でも先制攻撃をその本質とする敵基地攻撃能力の保持が議論されていますが、与正氏の談話は“日本に対しても同じ姿勢で臨む”というメッセージも込められているはずです。 昨今、米国の核戦力で国土を守る『拡大抑止』の確保に向けて日米が一層接近しており、金与正―崔善姫ラインは日本に対しても警戒を強めているでしょう」(同前) 奇しくも崔氏の外相就任が発表された直後、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で日米韓の防衛相が会談し、対北朝鮮協力を確認した。 2人の猛女が睨み付けるなか、日本の外交は新たな局面を迎えている。※週刊ポスト2022年7月1日号
2022.06.20 19:00
週刊ポスト
(写真/GettyImages)
BTSやTWICEだけじゃない!押さえておきたい次世代K-POPアーティスト10組
 世界で大流行中のK-POP。BTSやTWICEのほかにも、若者の間では“K-POP第4世代”と呼ばれる、2000年代生まれのメンバーで構成されたグループの勢いがすごい! と話題です。押さえておきたいグループを紹介します。【教えてくれたのは……】スクールゾーン  橋本稜さん/K-POPや韓国ドラマなど韓国エンタメに詳しく、公式YouTubeチャンネルでは韓国に関する動画を公開中。特に好きなアーティストはダビチ(DAVICHI)。●LE SSERAFIM(ル セラフィム) 2022年にデビューした6人組。元HKT48かつ元IZ*ONEのメンバー・サクラ(宮脇咲良)や元バレリーナのカズハの日本人2人と韓国人4人のグループ。「TikTokで事務所の先輩たちを巻き込んでデビュー曲のダンスを踊り、話題に。そういったバズらせ方がうまいのも、K-POPの特徴です」(橋本さん)●SEVENTEEN(セブンティーン) 2015年に韓国で、2018年には日本でもデビュー。13人組という大所帯で、ボーカル、ヒップホップ、パフォーマンスの3チームで構成される。「楽曲制作や振り付け、バラエティー番組の企画までメンバー自らプロデュースしているところが大好き。以前、仕事でご一緒したときに、視野の広さに驚きました。推しはジュン。ビジュアルと内面のギャップが好きです」(橋本さん)●aespa(エスパ) 2020年にデビューした4人組。メタバースの世界観を持ち、メンバーそれぞれのアバターがMVなどに登場する。「全員がギャルっぽく、かっこいいパフォーマンスが魅力。一方で頻繁にエゴサーチしていることを公言するなど、親しみやすい部分も(笑い)。音楽番組の収録では、彼女たちを撮るカメラマンまでノリノリで踊りながら撮影するそうです」(橋本さん)●NMIXX(エンミックス) 2022年にデビューした7人組。全員が美しいビジュアルの持ち主であることも話題に。特にメンバーのソリュンは「TWICEのサナとツウィを足して2で割った感じ」「美しすぎる」とファンの間でも評判になるほど。●ITZY(イッチ) 2019年に韓国で、2021年に日本でデビューした5人組。NiziUやTWICEと同じ事務所に所属しておりNiziUのメンバーを決めた『Nizi Project』では審査の課題曲に彼女たちの曲が使用された。「私は私」「他人の目は気にしないで」というメッセージ性のある歌詞に励まされるファンも多い。●IVE(アイヴ) 2021年にデビューした6人組。日本人メンバー・レイや元IZ*ONEのウォニョン、ユジンが所属する。8月には日本に初来日予定。「最近、ぼくのSNSのおすすめ欄によくウォニョンちゃんが出てくるので気になっています。アイドルになるために生まれてきたようなビジュアルが印象的!」(橋本さん)●Kep1er(ケプラー) オーディション番組『Girls Planet 999』で選ばれた9人組。2022年にデビュー。韓国、中国、日本出身のメンバーで構成される。「日本人メンバーのヒカル(江崎ひかる)は、まだ18才なのに完成されたパフォーマンス力で圧倒されます」(橋本さん)●TOMORROW X TOGETHER(トゥモロー バイ トゥギャザー) 2019年に韓国で、2020年に日本でデビューした5人組。BTSと同じ事務所に所属し、BTS以来6年ぶりのアイドルグループが誕生した。楽曲のファンタジーな世界観や、全員が歌、ダンス、ラップすべてのスキルに長けていることが人気の理由。●Stray Kids(ストレイキッズ) オーディション番組『Stray Kids』で結成された8人組。2018年に韓国で、2020年に日本でデビュー。肉食系でタフな雰囲気の楽曲が持ち味。●NCT 127(エヌシーティー127) 2016年にデビュー。NCTという大人数のアイドルグループ内の派生ユニットの1つで、ほかにもNCT DREAM、NCT U、WayVというユニットが存在する。「NCTについては規模が大きすぎて、ぼくも全貌を把握できていません(笑い)。でも127とDREAMに注目しているという声が、周囲では多いかな」(橋本さん) 橋本さんはK-POPの魅力について、こう語る。「耳に残りやすいメロディーや『○○ダンス』と名付けられた印象的な振り付けがクセになるK-POP。MVのクオリティーも高く、映像を見て考察するのも楽しいです。もっと詳しくなりたいかたはNetflixで見ることができる『知ってるお兄さん』というバラエティー番組がおすすめ。ゲストに来たK-POPアーティストたちの素顔を見ることができて、ますます親しみがわくと思います!」※女性セブン2022年6月30日号
2022.06.17 19:00
女性セブン
活動休止を発表し、世界中を驚かせた(AFP=時事)
BTSが活動休止発表 メンバーが語った「K-POPやアイドルのシステムの問題点」の意味とは?
 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、BTS(防弾少年団)の活動停止発表で表出したK-POPアイドルというシステムの限界について。 * * * それは突然の活動休止の発表だった。このままいけば韓国の徴兵制度により、今年の年末までにはグループでの活動を休止せざるを得なくなると思われていた。だが彼らが見せたのは、”K-POPやアイドルのシステム”に対する苦悩だった。 14日、K-POPの超人気グループBTSがグループでの活動を休止し、しばらくソロ活動に専念すると公式YouTubeチャンネル「BANGTANTV」で発表した。10日には9年間の集大成であり、デビュー曲から最新曲まで数多くの楽曲が収録されたアンソロジーアルバム『Proof』を発売したばかりだった。メンバーらはこのアルバムを、BTSの活動の一区切りとしたようだ。 彼らの口から語られた活動休止の理由は、これまでメディアや世論で議論されていた兵役問題だけではなかった。だからこそこのタイミングでの発表だったのだろう。本質的な問題は、多忙すぎる日々や成長する時間がないことだった。メンバーのRMが語った「K-POPやアイドルのシステムの問題点」という言葉は衝撃的だ。システムという言葉が、彼らが今、置かれている状況を明確に言い表している。 K-POPやアイドルはシステムなのだ。一旦システムに組み込まれれば、彼らはそのシステムの中で育てられ、成長していかなければならない。システムには枠組みや道筋がある。自分たちの自由になる範囲は限られてくる。「システムの問題点は成長するための時間を与えないことだ」とRMは語り、ジミンは「自分たちのアイデンティティーを見つけようとしている」と話した。SUGAは「今は何を伝えばよいのか分からない」という。彼らはそのシステムを良しとせず、今のまま続けるのは無理だと感じていたのだろう。疲れたから休むという曖昧なメッセージではなく、抱えている問題についてはっきり語った彼らを見ると、”意思を持ったアイドル”と呼ばれる意味がよくわかる。 グループの活動休止は、ありえないことではなかった。BTSの最年長メンバーJINの兵役問題を皮切りに、ここ数年メンバーの徴兵による活動休止が話題になっていた。韓国では満28歳までに男性は兵役に就かなければならない。しかし通称「BTS法」と呼ばれる2021年6月に施行された改正兵役法により、28歳だったJINは、大衆文化芸術分野優秀者として入隊が2年延期されていた。1992年生まれの彼は来年初めには入隊しなければならず、それまでに兵役免除ができるよう法律が改正されなければ、BTSは活動休止を余議なくされるのはわかっていた。 それでも活動休止発表の影響で15日に、所属事務所HYBEの株価は韓国取引所の前日終値比で一時27%下落、これまでにないほど値を下げた。韓国の株式市場からすれば、この発表は「ブラックスワン理論」みたいなものだったのだろうか。あり得ない、起こらないと勝手に想定していたことが急に発生すると、慌てふためき、社会や市場に大きな衝撃を与えるという理論だ。JINの兵役までの時間的猶予と、もしかすると韓国政府が兵役免除に動くのではという淡い期待が、ファンや投資家、市場にあったのかもしれない。 それもそうだろう。韓国では、「BTSコンサートの経済効果分析」という資料が出され、コンサートでの経済波及効果は1回あたりで日本円にして約1035億円とも約1250億円になるとも試算されている、年10回公演をすればアルバムやコンテンツ配信を合わせ1兆5000億円にもなるというから、活動休止による経済的損失は大きい。BTSはK-POPやアイドルのシステムだけでなく、経済のシステムに影響を与えるような存在でもある。 それにBTSはある意味、今の韓国を代表する顔だ。就任したばかりの尹錫悦大統領のことはわからなくても、BTSは知っているという若者は世界中に沢山いる。昨年9月には国連でスピーチを行い、6月には、ホワイトハウスでバイデン米大統領と面会し、アジア系住民へのヘイトクライムの撲滅について意見交換し、その様子は世界中に配信された。 こう書いていると、彼らに求められているものがアーティストとしての音楽性や優れたパフォーマンスだけでないと改めて認識される。にもかかわらず私自身、彼らをシステムの中で見ていたのだ。このままアイドルのシステムに乗っかって進むより、自分たちを見つめ直し、成長するためのソロ活動に専念するという彼らが、再びグル―プとして集まった時、メンバーのテヒョンが言う「シナジー効果が出ると思う」と私も信じている。
2022.06.17 16:00
NEWSポストセブン
経済財政諮問会議・新しい資本主義実現会議の合同会議で発言する岸田文雄首相(右から2人目、時事通信フォト)
人手が足りないはずなのに、最低時給に近い額で募集が続けられるのはなぜか
 政府の「新しい資本主義の実行計画」によれば、2025年度には全国平均の最低賃金1000円以上を目指す方針だ。政権発足時に岸田首相が掲げた「令和版所得倍増計画」は、約半世紀前の所得倍増計画とは異なり、個人の資産所得、つまり株式や投資信託などから得られる所得を倍増させるものだったため、多くの国民にとって所得は倍増しないと受け取られていたことに対するフォローなのだろうか。最低賃金の上昇によって、閉塞感に満ちた庶民の経済状況を改善できるのだろうか。俳人で著作家の日野百草氏が、学生からの素朴な疑問をきっかけに、日本の最低賃金とは何を示しているのかについて考えた。 * * *「最低時給なのに、どうして最低が標準みたいに下に合わせてるとこが多いんですかね、あくまで最低時給で、上限はないはずなのに」 筆者の元教え子の学生、コロナ禍にも恵まれたアルバイト先で仕事を続け、来年はいよいよ社会人である。いつも素直で素朴な問いかけをしてくる彼、この疑問も一笑に付すには侮り難く、なかなか深い。「多くは最低時給と書いて、まず最低時給かそのちょっと上からスタートですよね。経験者でもまずそこから、ってところもあります。以前、同じようにバイトしてる留学生とも不思議な国だねと話したんです」 未経験なら最低時給かそれに準じる額というのも仕方のない話、しかし経験者でもそこから「とりあえず」スタートというのは多くの方が経験している通りに多い。全国の最低時給、最高額は東京で1041円、最低額は高知と沖縄で820円だが、実際は820円台を最低ランクとするなら青森(822円)、岩手(821円)、秋田(822円)、山形(822円)、鳥取(821円)、島根(824円)、徳島(824円)、愛媛(821円)、佐賀(821円)、長崎(821円)、熊本(821円)、大分(822円)、宮崎(821円)、鹿児島(821円)と並ぶ(すべて2021年10月時点、産業別最低賃金は除く)。別にこの金額を下回らなければいいとはいえ、こうした東北、中国四国や九州の一部ではほぼこの最低時給かそれに近い額で募集がかけられている。仕事がないと言われる地方とはいえ、募集しているということは人が欲しいはずなのに、まるで賃金が上がらない。「経験のあるなしもそうですけど、切羽詰まるくらい人手が足りないところも最低時給に近い額で募集してますよね。その時給で人が来てくれないなら時給を上げて募集するのは当たり前の気がするのですが、なぜ最低時給で募集し続けるのでしょう、いますぐ人が欲しいはずですよね」 個別の問題はともかく、シンプルに考えれば人手が足りなくて困っているなら、人に来てもらうために時給を上げるのは当然と思うのは無理もない。「人を雇いたい人たちで奪い合えば賃金は上がるはずですよね、それが経験者とか優れた人ならもっと上がるはずなんですけど、多くは上げませんよね」「自分のところだけ時給を上げると商店会から睨まれる」 大学で経済学、とくに労働経済学を学んだ人には懐かしいかもしれないが、「労働需要曲線」「労働の限界不効用」「労働の限界生産力逓減の法則」なんて習ったはずだ。もちろんここではそうした学問を持ち出すことは本旨ではないため割愛するが、日本の一般的な賃金は国が最低時給を決めたらおおむね、その最低時給かそれに近い額であり、新卒も含めておおむね、基本給が横並びであることの多いことは既知の事実だろう。アメリカのように人手不足で平均時給が約32ドル(約4000円、アメリカ労働統計局・2022年5月発表)なんて話は日本ではあまり聞かれない。 日本の地域別最低賃金は全国平均で930円(時間額換算)だが、アメリカの他にもイギリスや東南アジアの一部では時給が3000円、4000円と跳ね上がっている。チップ代など日本に馴染まない分も含まれているケースもあるが、それを加味しても日本以外の先進諸外国では物価の高騰と賃金の高騰はワンセット、ドイツも一気に9.82ユーロ(約1377円)から12ユーロ(約1683円)に最低時給を上げた(為替レートは6月6日時点のもの)。しかし日本はそうではない。そもそも30年間、日本で賃金は上がらない。上がっているのは税金ばかり、近年は物価も上がり始めた。平均時給そのものは上昇傾向にあるが、そうした調査会社の発表ほどには現場の実感は上がったという感覚がないだろう。実際、時給ではないが日本の平均賃金は世界でも韓国どころかスロベニアより低い(OECD・2020年)。どこの国と比べてというよりOECDでも「相当下位」と2021年、当の経団連会長すら認めている。「そもそも、横並びですよね」 これについては先の最低時給が引き上げられた2021年10月、筆者は鳥取の商店主に話を聞いている。鳥取の最低時給は821円だが、1991年に見かけた千葉のゲームセンターの時給850円とそれほど変わらない。鳥取の求人を見れば1000円前後の募集もあるが、やはり最低時給に近い案件も多く並ぶ。地域も業種も違うとはいえ30年以上の時を経ていると考えれば、いまだ地方が取り残されていることに日本そのものが不安になってくる。しかし店主の回答はそれを上回る文面だった。「821円なんて厳しいです。10年前から150円以上も上がってるんですよ。その間に景気が上向いたわけでもないし、ずっと景気は沈みっぱなしなのに最低賃金だけ上げられても厳しくなるばかりです」 調べれば鳥取県の2012年の最低時給は653円、いまや約54万人と県全体でも埼玉県川口市(約59万人)より人口の少ない県だけに予想はしていたが、最低時給821円でも払う側が厳しいとは。もちろん鳥取に限らず、先に挙げた時給最低ランクの各県は同じような状況なのだろう。地域差、人それぞれなのだろうしそうした地域でも高額の時給を貰っている人がいるのは当たり前の話だが、全体的に低いことには変わりがない。店主によればこんな話もあった。「自分のところだけ時給を上げると商店会から睨まれるんです。田舎だからってのもあるけど、日本中どこも同じような感じじゃないでしょうかね」 なるほど、学生の疑問「人が欲しいなら他より時給を上げればいいのに」が通用しないということか。この労働市場の歪みは30年間ずっと議論されてきたが是正をみない。国が決めた最低賃金がまるで「国が決めた賃金の基準」のようになってしまい、それを過剰に出し抜かないよう多くの雇用主同士が牽制しあっている。それはまた、雇用主にとっても都合の良い、いわば「最低時給カルテル」のようになってしまっている。それもカルテルのように実際に示し合わせるのではなく、相互監視の日本お得意の「空気」によって維持されている面もある、ということかもしれない。これ、本当に不安どころか薄ら寒くなってくる。このままでは日本は低賃金のまま税金も物価も上がり続けてしまうし、現にそうなっている。実際、都内の商店街で話を聞くと、「相場より割高の時給で募集なんてできないよ。それだけの人件費出せないのもあるけど、他の店からクレームも来るし」 これまた絶望的な言葉を頂いた。「相場とは何なのか」と聞いたら「最低時給」に「ちょっとプラス」とのことで、業種によっては構わず高時給をつけるところもあるのだろうが、確かに下町の商店街、「だいたい」の時給で収まっていて、鳥取の店主の話とそれほど変わらない。「日本を出たい」が多くなる理由「最低時給のはずが、時給の基準になっているわけですね」 ここまで話しての学生の言葉。夜勤や業種など働き方によっては変わるし一概にそうではないが、それでも職種、働き方でだいたいの賃金相場が横並びの「空気」で決められているような気がする。やはり山本七平が「空気の研究」で唱えた日本の最大宗教「空気教」(空気を読む・同調圧力・他人の顔色)は労働市場でも絶大で、政府もかなわない絶対権力者ということか。もちろん、国全体の経済が衰退しているという身も蓋もない原因が根っこにあるのだが。 さすがに危機的と日本政府は「新しい資本主義」と称して2022年6月、2025年度を目処に全国平均で時給1000円以上を目指すと発表した。何重にも課税されたあげくに値上がる税金、2022年予測で1万品目(!)も予定されている大幅な値上げによる物価高を前に「3年後に時給1000円」と言われても納得できない国民が大半ではないか。賃金の上がったサラリーマンの中にも「上がっても物価や税金で実質的にマイナス」という厳しい現状も聞かれる。「日本を出たいって多いのもわかります。実際に出てる人もいるし、移住しなくても、いられる国を増やしたほうがいいですよね」 どこのインフルエンサーの配信を見たのか知らないが、20歳そこそこの彼に「そんなことない、日本にいなさい」と言えないのも辛い。完全移住でなくとも、それなりの資産家や事業家にはビザコレクターのように滞在できる国を複数持つ人々が増えている。いますぐとはいかないが、約30年後には、日本の一般労働者も海外に賃金労働を求めて出ているかもしれない。『母を訪ねて三千里』というアニメでは主人公のマルコのお母さんはイタリアからアルゼンチンに出稼ぎに行っていた。筆者は幼少期、このアニメを見て不思議だったのが「なんでイタリアからアルゼンチン?」だったが、後に知ったところ19世紀後半のイタリアは不景気で、アルゼンチンは豊かな国だった。高坂正堯が日本の衰退を通商国家の命運としてイタリア(ヴェネツィア)やオランダに擬えた『文明が衰亡するとき』を中学時代に読んだ時もまた衝撃的だったが、筆者が読んだときにはバブル真っ只中だったので「本当かなあ」だったが、本当だった。 本稿を「その辺の学生や商店主の話だろ」と片づけるのは簡単だが、これはあくまで象徴的な意見として興味深かったが故に引いたもので、先に言及したが日本の平均賃金は韓国やスロベニア以下、最低時給平均に至ってはタイと変わらずキプロス以下である。為替の影響や統計の取り方に疑義あるにせよ、日本が韓国やタイどころかスロベニアやキプロスとこうした算出で並ぶどころか抜かれるなんて、30年前に話したら笑われただろう。 日本が平均賃金の上がらない国であることはこの30年で十分わかった。そして平均時給もまた、上がってはいるが税金や物価の値上がりにまるで対応できていないことも明白だ。筆者はこの最低時給(意味合いとして平均賃金も)を基準とした横並びを本当に恐ろしいと思っている。世界の企業時価総額ランキングで20社中18社が日本企業だった1988年ごろ7700円(1988年度)だった国民年金保険料はいまや倍以上の1万6590円、それまでは消費税(1989年4月から導入)も介護保険料(2000年月から導入)も無かった。手取りそのものも減り続けている。 いまや実質的な政府と国民の取り分が「五公五民」とされる異常事態、五公五民は一揆が起こると江戸時代すら幕府も各藩も躊躇したと伝わるが日本政府、「3年後に時給1000円」なんて悠長なことを言っている場合なのだろうか。【プロフィール】日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。社会問題、社会倫理のルポルタージュを手掛ける。
2022.06.14 16:00
NEWSポストセブン
動画&音楽のサブスク16選 主要サービスの料金や基本的特徴を解説
動画&音楽のサブスク16選 主要サービスの料金や基本的特徴を解説
 定額料金で様々なサービスを利用する“サブスクリプションサービス”。その定番といえば、動画配信サービスだ。サービスごとにオリジナルコンテンツや番組を配信しており、独自性を打ち出している。どれに加入すべきかは金額や特徴を見比べて決めたいところだ。【表3枚】特徴や月額料金を徹底比較! 動画/音楽/育児やレジャー・旅行など、多様な「サブスクサービス」36選 そして、動画配信と同じく、利用者が多いサブスクが、音楽配信サービス。使用しているスマホの機種などによって、連携しやすいサービスが異なるが、『Apple Music』『LINE MUSIC』『Spotify』『YouTube Music Premium』『Amazon Music Prime』の5サービスが、一歩リードしている印象だ。 以下に、主要な動画配信サービスと音楽配信サービス、それぞれの料金や特徴について解説しよう。【*料金、利用条件などはすべて、2022年5月12日時点の情報です。変更の可能性あり。詳細はホームページなどをご確認ください】動画配信サービス7選●Netflix月額料金:990円~、別途有料作品:なし 日本に“サブスク”を広めるきっかけになった動画配信サービス。オリジナルコンテンツに注力しており、海外作品も国内作品も豊富なラインアップ。話題になった韓国の大人気ドラマ『愛の不時着』や『イカゲーム』などを配信。●Amazon Prime Video月額料金:500円、別途有料作品:あり 動画配信サービスだけでなく、Amazon Music Prime、Amazon Photosといったサービスも、月額500円で利用できる。視聴に追加料金がかかる作品もあるが、このサービスでしか見られないオリジナル作品も充実。●Disney+月額料金:990円、別途有料作品:なし ディズニー、ピクサー、マーベル作品が見放題。ディズニー作品のオリジナルストーリーも多数配信されている。大人気スマホゲームアプリ『ディズニー ツイステッドワンダーランド』のアニメ作品が独占配信されると話題に。●U-NEXT月額料金:2189円、別途有料作品:あり 国内の新作映画や韓国の人気ドラマが数多く独占配信されている。話題の作品がどこよりも早く見られるが、月額料金がいちばん高い。安く動画を楽しみたい人には不向きかも。●Hulu月額料金:1026円、別途有料作品:あり 国内ドラマのラインアップが豊富。さらに日本テレビ系列のドラマはスピンオフも見られるので、国内ドラマ好きにはおすすめ。海外ドラマも日本初配信の作品が豊富。●ABEMA プレミアム月額料金:960円、別途有料作品:あり 恋愛リアリティーショーを多数配信しているのが特徴。オリジナル作品も多く、有料版に加入すれば配信中の番組の追っかけ再生や、広告なしでの視聴が可能となる。過去の番組配信が不要であれば、無料版でも充分楽しめる。●dTV月額料金:550円、別途有料作品:あり 低額でいつでもやめやすく、無料体験期間が長いのが魅力(いま初回入会すると最大6月10日まで無料)。オリジナル作品はほかと比べて少ないが、動画配信サービス以外に、音楽ライブも楽しめる。音楽配信サービス9選●Apple Music月額料金:980円、無料プラン:なし iPhoneなどのApple製品のユーザーなら、連携しやすい。加入すれば広告なしで7500万曲が聴き放題に。1か月の無料お試し期間も魅力。●LINE MUSIC月額料金:980円、無料プラン:あり 9000万曲以上が聴き放題に。LINEの友達が聴いている曲やLINEのBGMに設定している曲が表示されるなど、LINEと連携したサービスが楽しめる。学割制度もあり。●Spotify月額料金:980円、無料プラン:あり 7000万曲以上の楽曲が聴き放題に。ほかの音楽配信サービスに比べて無料プランが充実しているので、無料で音楽を聴きたいという人におすすめ。●YouTube Music Premium月額料金:980円、無料プラン:あり YouTubeが配信する音楽サービス。有料会員になると、広告が流れなくなるので配信がスムーズに。また通常は、YouTubeを見ながらスマホのほかのアプリは操作できないが、有料会員なら操作可能に。●Amazon Music Prime月額料金:Prime 500円 + Unlimited 980円、無料プラン:あり Amazon Prime会員なら、200万曲は無料で聴き放題。曲数が足りない、好きなアーティストの曲が少ないと感じるなら、有料サービス「Unlimited」(月額980円)で9000万曲が聴けるようになる。●dヒッツ月額料金:330円、無料プラン:なし 月額330円のプランは業界最安値。音楽にこだわりがなく、月額料金を抑えながら、時々BGMとして楽曲が聴ければいいという人におすすめ。●楽天 ミュージック月額料金:980円、無料プラン:なし クレジットカードやモバイル、銀行などで楽天サービスを使用していれば月額料金が780円に。楽曲を毎日1曲聴くことで1ポイントがもらえる。ただしファミリープランがなく、基本的に1人ずつ加入することになるため、料金は高めになる。●アニュータ月額料金:600円、無料プラン:なし アニメソングに特化。楽曲数は少ないが、最新楽曲から懐かしの曲まで幅広くそろう。アニメ関連のイベント先行予約もできる。●auうたパス月額料金:550円、無料プラン:あり 音楽の再生方法が、シャッフル再生か曲順再生のどちらかのみで、好きな曲をピンポイントで選んで聴けないなど、使い勝手に難あり。月額料金が安いので、気軽に音楽を楽しみたい人向け。取材・文/番匠郁※女性セブン2022年6月2日号
2022.05.28 19:15
マネーポストWEB
新井恵理那
BTSと新井恵理那も気を配る「芸能人とメンタルヘルス」シビアな現実
 華やかで、いつの時代も大衆の憧れの的であり続ける芸能・エンターテインメント界。しかし、常に誰かの目にさらされて、重圧やストレスの過多と、そこにしかないシビアな現実も存在する。 今、世界で最も注目されているスターグループBTSについては、所属事務所HYBEがデビュー前からメンタルヘルスケアの教育を施してきていたことが、母国韓国で話題になっている。 K-POPに詳しいある音楽誌編集者は「SNSを駆使して人気を獲得していったBTSは、練習生時代からネットリテラシーやSNSとの付き合い方などを含めた教育を受けていた」と話す。 2019年には元KARAのク・ハラさんの悲劇など、以前から日本以上にメンタルが原因となった事件や事故が多い韓国芸能界だけに、そのトップグループの対策は、ひと際注目を浴びているという。 それでもうつ病経験のあるメンバーのSUGA(29才)は、心理カウンセラーの資格を取る目標も掲げていて「影響力のあるアーティストや芸能人が、メンタルヘルスの問題について、もっとオープンに話し合うべきではないか」と提唱した。『Dynamaite』が世界的大ヒットを飛ばした2020年には、JIN(29才)も「実際は僕よりも音楽を愛していて、上手な方々もたくさんいるのに、僕がこんな喜びと祝福を受けてもいいのかと心が苦しくなって、何もかも辞めてしまいたくなった」と、頂の上に立つからこその苦悩を明かしたこともあった。 だからこそか。「BTSは、2019年と今年初めに1か月の長期休暇を取るなど、心身のケアに細心の気を配っています」(前出・音楽誌編集者) 一方、日本でもメンタルヘルスの意識は高まってきている。毎週月曜から金曜まで朝の情報番組『グッド!モーニング』(テレビ朝日系、午前4時55分)の総合司会を務めながら、ほかにも数々のバラエティー番組のレギュラーを持ち、ここ数年は『TV番組出演本数ランキング』女性部門1位など上位の常連。日本屈指の忙しい女子アナウンサー新井恵理那(32才)も、4月末のラジオ番組で「メンターに相談して、どうやって気持ちを高く強く持ち続けることができるか修行しているんですよ」と告白。毎朝、元気な笑顔を届けている新井アナも、裏では「心理学を学んでいる感じもあって、そういうノウハウを学べることがいいと思っているんです」と、自分で対策を立てていた。 ある芸能関係者は「韓国エンタメ界では、昔からスポーツ選手でも芸能人でも悲しい出来事がしょっちゅう起きていて『劣悪な環境なのかな』と、他人事に捉えていました。ところが、日本でも近年は悲劇が続いています。所属事務所とタレントのトラブルも増えてきた。もう『コロナうつ』で片付ける問題では無くなっていて、我々も第三者のメンタルヘルス講師をタレントたちに会わせ始めました」と明かした。 一昨年には、三浦春馬さん、芦名星さん、竹内結子さんらが、昨年末には神田沙也加さん、そして渡辺裕之さんに上島竜兵さん──もはや個人任せにせずに、“心の逃げ場”の常設が当たり前の時代に入ってきている。 前出の芸能関係者は「米国では、5月は『メンタルヘルスケア意識向上月間』とのことで、メジャーリーグの大谷翔平選手もユニホームの胸に賛同する緑のリボンをつけて試合をしていました。日本の芸能界でも、もっと意識の向上を図っていきたい」と語った。 真剣に議論や対策を進める時期に入ってきている。
2022.05.20 16:00
NEWSポストセブン
住民の間では新型コロナウイルスの感染拡大や防疫措置などによる不満が高まっていたという
北朝鮮の青年同盟が資本主義ファッション取り締まり運動 社会的なパージも
 北朝鮮の朝鮮労働党直属の「社会主義愛国青年同盟」は4月末、全国規模の大会を開催し、「外国のファッションやヘアスタイルをまねる行為は『資本主義的傾向』であり、『反社会主義的慣習』だ」と定義した。これを受けて、青年同盟のパトロール隊は、長髪の若者や、髪を茶色などに染めている者、また英語や漢字など外国の文字を印刷したTシャツを着ている者やジーンズなどをはいている者について、男女を問わず厳しく取り締まっていく方針を決めた。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 社会主義愛国青年同盟は、10代から20代前半の若者グループであるソ連の「コムソモール」や「中国共産主義青年団」をモデルとしている。今年1月には創設76周年の記念大会を開催し、金正恩総書記や主体思想に忠誠を誓う決議などを発表している。 北朝鮮では今年の4月15日は金日成主席の生誕110周年記念日で、25日は朝鮮人民革命軍創建90周年の記念日で、この2つの重要な記念日を祝って大規模な閲兵式が実施された。青年同盟の資本主義ファッション取り締まり運動はこれを受けたもので、金総書記に忠誠を誓い、社会主義社会を実現していくために必要だとの理念に基づいているという。 北朝鮮の情報筋がRFAに明らかにしたところでは、今回の取り締まりは、主に20代から30代を対象にしており、パトロール隊が、韓国などの外国の映画やテレビに出てくるような外見や服装をした者の身柄を拘束し、地区の青年団事務所に連行。罪を告白する手紙を書かされて、家族に引き渡される。 その後、「有罪」となれば、勤めている会社や社会主義愛国青年同盟の本部に通知。厳しい批判集会を経て、罪状がテレビニュースなど公表され、社会的にパージされることになるという。 しかし、若者たちは画一的な社会主義的価値観に不満で、携帯電話などで韓国の映画や音楽などに触れ、資本主義国の若者の文化に憧れを募らせており、中国などで売られているTシャツやジーンズなどを秘かに入手しているという。 RFAは「この背景には、北朝鮮では大学に入学できるのは特権階級の親族か、あるいはとびぬけて優秀なものに限られており、若者の大半は中学や高校を卒業すると、工場や軍隊などに入らなければならず、その後も出世や富には無縁な生活を送らなければならないからだ」と指摘している。
2022.05.18 07:00
NEWSポストセブン
二階派に動き?(時事通信フォト)
二階俊博・元幹事長に不気味な存在感 日韓関係修復で総理を出し抜く計画か
「落ち目」といわれる“自民党のドン”二階俊博・元幹事長がここにきて不気味な存在感を示している。 表面的には、二階派からは離脱者が相次ぎ、「二階王国」と呼ばれる地元・和歌山でも、二階氏が推進したカジノ(統合型リゾート)計画案が県議会で否決されるなど、求心力の衰えは否めないように見える。 二階氏の“引退近し”と判断した和歌山選出の実力者、世耕弘成・参院幹事長は「林(芳正・外相)さんは参議院から衆議院へ移ってトップ(首相)を目指すという姿勢を示しました。私も地元の皆さんのご理解をいただければ、そういうことも考えていきたい」と衆院への鞍替えに意欲を見せ、二階氏の選挙区を虎視眈眈と狙っている。 しかし、二階氏は何度も逆境をはね返し、蘇ってきた老獪な政治家だ。2009年総選挙では二階派議員の全員落選という絶体絶命のピンチに立たされながら、わずか3年後には旧伊吹派を飲み込み、二階派を再建して政界を驚かせた。83歳の高齢となった今もその闘志は消えていない。「訪韓の準備はどうなっている」 最近、二階氏が派内に号令を掛けているのが韓国訪問だ。「1000人を引き連れて韓国に行く」 幹事長時代の2020年1月、二階氏は来日した韓国議員団との会談でそうぶち上げたが、直後からのコロナ感染拡大で訪韓計画は保留となっている。 折しも、その韓国では5月10日に日韓関係修復を掲げる尹錫悦(ユン・ソンニョル)・新大統領が就任。コロナ感染者数は日韓とも減少傾向にある。「話を進めるには頃合いはいい」と判断したようだ。 韓国の新政権は大型連休前に国会副議長を団長とする韓日政策協議代表団を日本に派遣したが、裏で根回しをしたのが二階氏だったことはあまり知られていない。 二階氏は今年1月、側近の武田良太・元総務相を日韓議連幹事長に就任させ、4月には政界引退した側近の河村建夫・元官房長官(前任の日韓議連幹事長)をソウルに派遣、尹大統領側近の秘書室長らと政策協議団の来日を調整させた。 その甲斐あって韓国の代表団は4月24日に来日し、林外相らを表敬訪問した後、二階氏や武田氏ら日韓議連幹部と会談した。「岸田総理は自分が外相時代に結んだ慰安婦合意を韓国が反故にしたことに遺恨を持っていて、関係修復には消極的だ。代表団と面会した時も写真撮影にさえ応じなかった。二階さんは“それならオレがやる”と大訪問団を引き連れて韓国を訪問し、日韓関係を修復して総理を出しぬくつもりだ。韓国のコロナ入国規制の緩和のタイミングを見ながら、観光業界に声を掛けて1000人規模の訪問団を編成する準備を進めている」(二階派議員) 健在ぶりを示しているのは外交面だけではない。 自民党国土強靭化推進本部長でもある二階氏は連日のように党本部に顔を出して部会などの会合に出席、その合間に役人のレクチャーや県知事、市町村長、業界団体などの陳情を受ける。「二階さんは総務会長、幹事長時代を通じて業界の利害調整を一手に担ってきた。今の自民党には他にそんなことができる政治家はいない。だから幹事長を辞めても業界団体や役人は二階さんに相談するし、陳情の来客は引きも切らない。対照的に茂木敏充・幹事長の部屋の前にはほとんど陳情客はいない」(大手紙の自民党担当記者) 自民党の「票とカネ」の源泉である業界団体を握るドン・二階氏の威光はなお健在なのだ。※週刊ポスト2022年5月27日号
2022.05.16 16:00
週刊ポスト
尹錫悦・大統領(右)の対日協調路線は、李在明氏の影響で…(写真=AA/時事、AFP=時事)
韓国・尹錫悦大統領、ライバル・李在明氏の国政進出で早くも反日転向か
 5月10日、韓国で尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が大統領に就任した。特使として訪韓した林芳正外相と面会し、「岸田首相と日韓関係の改善のために一緒に努力していきたい」と発言したものの、就任演説では日韓関係への言及を避けた。 大統領選では、日韓関係の修復をしきりに訴えてきた尹大統領のトーンダウン。影響を与えたとされるのが、就任直前に起きた一件だった。「大統領選で戦った『共に民主党』の李在明氏が、6月の国会議員補欠選挙に出馬表明しました。韓国では、大統領選で敗北した候補は、しばらく政界から身を引くのが通例で、続けて選挙に出るのは極めて異例です」(在韓ジャーナリスト) 李氏は大統領選で「日本はまず謝罪を」と訴え、厳しい反日政策を掲げた。選挙に敗れたものの得票差はわずか0.7ポイントと接戦だった。元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏が語る。「互いのスキャンダル合戦で勝敗が決まった感があり、尹大統領の対日協調路線が国民から支持されたとは言えません。就任演説で、対日政策に触れなかったのは、直前に李氏が補選への出馬を表明したことが影響したと見られています。日韓関係に踏み込んだ発言をして世論の反発を招くと、李氏への追い風となる」 韓国国会は「共に民主党」が議席の約6割を占め、この勢力図は2024年まで変わらない。「李氏が出馬する仁川は、弁護士として労働争議に関わってきた地盤とも言える地域で、李氏有利と見られています。李氏が国政に進出すると、国会が大統領選の延長戦になるでしょう。尹大統領は少数与党体制で政策を履行するため、野党に譲歩した政権運営を行なわなければならない。今回の補選の結果次第では尹大統領の対日融和路線は早々に方向転換を迫られることになる」(前川氏) これまで何度も繰り返してきた韓国大統領の「反日転向」。不穏な空気がすでに漂っている。※週刊ポスト2022年5月27日号
2022.05.16 11:00
週刊ポスト
(イメージ)
少子化の加速は深刻 大前研一氏「背景にある『戸籍』を見直すべき」と提言
 日本をはじめ、韓国や中国も、深刻な少子化問題を抱えている。韓国は合計特殊出生率が0.81にまで落ち込み、中国は以前の「1人っ子政策」から「3人っ子政策」へ方向転換したが、その効果はまだ見えていない。アジア各国で経済アドバイザーを務め、国家戦略に参画してきた大前研一氏は、その背景には、それぞれの国の社会制度や文化があると指摘する。 * * * 中国は1979年以降、爆発する人口を抑制するために半ばパニックになりながら、1組の夫婦につき子供は1人だけという「1人っ子政策」を実施してきました。しかし、それが行き過ぎてしまい、今度は日本よりも早く少子高齢化が進む可能性が出てきて、慌てて軌道修正し始めています(図表1参照)。 まず、2016年から地域を限って2人まで産んでいいとする「2人っ子政策」に転換しました。それで、1年だけ反転する気配が見られましたが、そのあとまた減り続けています。そこで慌てて今度は2人の制限も解除して、2021年からは3人目の出産も容認しましたが、まだ下がってきています。最新の数字では、2021年の出生数は1062万人で、1949年の建国以来最少となり、合計特殊出生率も1.1〜1.2と日本より低くなると報じられています(日本経済新聞2022年1月18日付)。 その結果どうなるかというと、女性が強くなります。統計上は、男女比が2%しか違わないのですが、適齢期で男性のほうが余ってしまっているとなると、年収はいくらで、どんなマンションを所有しているか、といった評価の対象となります。また今は、アリババグループ傘下のアントグループ(螞蟻集団)が普及させた個人の信用サービス「芝麻(ゴマ)信用」というものがあり、このスコアが750点以上ないと女性をデートにも誘えないなどと言われています。出生率が最低レベル0.81となった韓国 一方の韓国は、前述したように、合計特殊出生率がOECDの中でも最低の0.81まで下がってしまい、2020年には、生まれた人のほうが死んだ人より少なくなり、初めて人口減少に転じました(図表2参照)。 韓国は、日本と同じように結婚してから子供を産むという社会通念が根強く残り、結婚せずに出産する未婚の出生率は2.2%です。OECDの平均が41.5%なのに対して、韓国と日本だけが2%台にとどまり、婚姻数の減少と相まって減少傾向が続いています。 また韓国の場合は、とくにエリート社会という傾向が強く、良い学校に行って、良い会社に就職できないと、社会的に恵まれないという社会でもあるため、どうしても結婚や出産をためらう人が増える──それが大きな問題になっています。 もう1点、女性に対する蔑視・偏見が日本より強いということが挙げられます。たとえば韓国は結婚の橋渡しをする「仲人」の存在がまだ大きい(日本ではすでに減少)のですが、その仲人が女性の結婚条件(年齢は25歳までなど)を厳しくつけるケースが多いようです。そういった韓国固有の文化も、少子化対策を難しくしている一因と考えられます。未婚率の増加が少子化に直結 拙著『経済参謀』でも政府が取り組むべき課題の筆頭として少子化問題を取り上げましたが、日本の場合には、結婚した夫婦は平均して2人の子供をつくっています(図表3参照)。つまり、結婚したら子供は2人ぐらい産みたいと考える夫婦が多く、理想の家族像を聞くと、4人と答える人が多いのです。 ただ、それもだんだんと難しくなってきていて、そもそも結婚しない人が増えている上、晩婚化も進んでいるため、女性が高齢出産になると、1人産んだ後、2人目を産むのがさらに難しくなってしまいます。 では、どうすれば、この問題を解決できるのか? ここで、各国の婚外子の割合を見ていただくと、いかに日本と韓国が異常かということがわかると思います(図表4参照)。 アイスランドは、生まれてくる子供の実に70.5%が結婚していない夫婦から生まれています。フランスは60.4%、スウェーデンは54.5%、オランダは51.9%、そして先ほどのハンガリーは43.9%となっていて、OECDの平均は41.5%です。 アメリカでさえ39.6%、ドイツは33.9%ということで、3人に1人以上は婚外子です。世界的に見れば、結婚していることが子供を持つ前提とは限らないということになります。逆に、日本や韓国はそれが大前提になっていることが最大の問題というわけです。 そうなってしまう原因の1つが「戸籍」です。法律上、結婚しなければ夫婦で戸籍を作れず、未婚の夫婦から生まれてくる子供は「戸籍に入れてもらえなくて可哀想だ」となってしまう。それで、籍に入らないんだったら堕胎しましょう、という話になるか、そもそも子供を作るのはやめましょう、となってしまいます。 では、その戸籍の根拠とは何でしょうか? 日本国憲法には戸籍についての言及はなく、第24条に「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」となっています。 民法の第739条に「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる」とあります。明治憲法制定以前の明治4年に制定された旧戸籍法によって、戸籍(いわゆる壬申戸籍)が作られて以来、現在まで続く戸籍法の規定に私たちは縛られてきました。それが、日本の少子化の最大の要因になっているわけです。 したがって、戸籍制度を撤廃すべきというのが私の主張ですが、その前に、とりあえず現状で、若者たちの結婚への意欲を削いでしまっているような日本社会の制度や文化について考えてみたいと思います。親に“パラサイト”する成人 まず、成人してからも親と同居する子供が多いことが挙げられます(図表5参照)。たとえばヨーロッパのほうは、成人したら親元から独立して生計を立てるのが当然だと考えられているので、いつまでも親元にいたら、あの人は大人になっても1人で生きていけないのかと不思議がられます。 ところが日本では、親と同居するほうが経済的合理性が高いと考えられています。これも不思議な話なのですが、われわれの時代には、地方から集団就職で都会に出てきた人も多いので、当然、田舎の親とは別々に暮らしました。しかし、その後の世代になると、親が都会にいるため、子供もそのまま都会で就職して、親と同居し続けるというケースが非常に増えてしまったわけです。そうなると、ますます結婚・出産へと向かうハードルは高くなってしまいます。 日本(や韓国)の場合はとくに先ほどの戸籍の問題などがあるので、もっと積極的に結婚を促進するような仕組みを考えないといけません。極端なことを言えば、30歳を過ぎてからも親と同居している人には税金をかけるといった議論が出てくるかもしれません。それから、賃貸にした場合の家賃の相場を調べて、子供に負担させるやり方もある。もちろん、実際問題としてそういったことを実施するのは困難でしょうけれども、どうにかして今の状況を変えないと、経済的合理性という理屈に守られて、成人した子供が親と同居して“パラサイト”している限りは、結婚や出産のきっかけすら生まれません。 それに対して、ヨーロッパのほうは、親元を離れて1人で生活するのは当然のこととされています。ただ、やはり独立して生計を立てようとすれば、それなりにお金がかかりますから、1人暮らしではなく、仲間3〜4人で一緒に生活コストをシェアしましょうということになります。そうなると、そこに男と女がいれば、恋人同士になることもありますし、さらに関係が深まれば、子供ができることもあるでしょう。 もしその2人が結婚していなくても、生まれてきた子供を登録すれば、立派な国民として迎えられます。あるいは、1人の女性から父親が違う2人目、3人目の子供が生まれることもあるでしょうし、1人の男性が複数の女性に子供を産んでもらうこともあります。 いずれにしても、結婚を前提としないで子供を産むケースが非常に多いのです。その場合でも、子育てと仕事の両立を国が全面的に支援するということでやっているわけです。 こうした国々の少子化対策を見ながら、日本でも結婚や出産を促進するような仕組みや施策に取り組んでいかなくてはいけないと思います。※大前研一『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』(小学館)より一部抜粋・再構成
2022.05.14 07:00
NEWSポストセブン

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