妻に先立たれ、「自暴自棄になったり、酒に溺れたりはしなかった」という小宮氏。10年以上という長い期間にわたりがんと対峙したことで、覚悟ができていったからだという。
そして、現在は“妻より長生きできたことが何よりの妻孝行”だと思うようになった。
「自分がやらせてもらった落語の演目で、夫婦喧嘩ばかりの亭主が『ひとつ決めているのは、あいつより先に死のうと思っている。だって一人残されたら寂しいからさ、だから嫁さん長生きしてよ』という台詞があります。でも実際の僕はその逆で、彼女も生前『私が一人取り残されるのは寂しい』と言っていました。だから、そういう思いをさせなかったのは妻への一番のプレゼントだったのかなと思います」(小宮氏)
※週刊ポスト2021年12月24日号