2021年12月、乳製品の消費をアピールする金子原二郎農林水産相(中央/時事通信フォト)

2021年12月、乳製品の消費をアピールする金子原二郎農林水産相(中央/時事通信フォト)

 不健康説には、「牛乳のタンパク質が胃や腸の中で固まり、胃腸が悪くなる」というものもある。牛乳に含まれるタンパク質の8割を占めるのが「カゼイン」だ。「カゼイン不耐症」とも言うが、腸で固まったタンパク質カゼインが腸の炎症などを引き起こし、さらには花粉症やアトピーといったアレルギー反応、またはがんの原因になることもあるとされる。この説の真偽はどうか。

「腸を傷つけたり炎症を引き起こす可能性は、タンパク質全般に言えます。カゼインに限らずタンパク質には、ある程度のリスクがあります。ただし、それは摂り過ぎた場合に限ります。タンパク質の吸収過程で腸などに余計な負担がかかる。つまり、“カゼインだから危険”というわけではありません。1日で何リットルも摂取しなければ問題はないでしょう」(平井氏)

 それでは、「牛乳は身体の成長と健康を促進する完全栄養食である」という言説については、どう捉えればいいのか。平井氏は「牛乳に含まれる栄養を過大評価するのもよくない」と語る。

「よく『牛乳を飲むと背が伸びる』と言われますが、身長は遺伝の影響が大きく、牛乳を何リットル飲めば何センチ伸びるというものではありません。

 また昭和の時代には『牛乳は健康に良く、万病に効く』と言われたこともありましたが、その頃は全国的にカルシウム源が不足している時代でした。特に戦後の貧しい時期に米ばかり食べていた日本人にはカルシウムが豊富な牛乳は貴重な栄養源になり、健康状態を改善したとも考えられます。万病を防ぐほどの効果はなくとも、栄養不足から生じる病気には一定の効果をもたらしたはずです」(平井氏)

 牛乳は毒ではないが、万能薬とも言えないわけだろう。

※週刊ポスト2022年1月28日号

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