「昨今、若者の“テレビ離れ”が進んでいると世間ではよく話題になっています。しかし実際には『Z世代の若者の多くはテレビを見ている』と指摘することもできます。
私が運営するZ総研で2021年8月に調査したアンケートにて、25歳以下の女性を対象に『普段テレビを見るか』と尋ねたところ、『毎日見る』と答えた割合は58.5%にのぼりました。実は世間のイメージとは異なり、半数を上回るZ世代が日常的にテレビを視聴しているんです。
また、『週に1回以上テレビを見る』と答えた人を合計すると、その割合は全体の9割以上にもなります。つまりZ世代の大半は毎週テレビを見ていると言えます」(道満氏)
ではZ世代の若者はどのようなときにテレビを視聴しているのだろうか。
「Z世代がテレビを見る理由として大きいのは、“推し”が出演している番組をチェックするためです。実際に毎日テレビを見ているリアルZ世代に質問してみると、『自分から進んでテレビを見るときは、音楽番組などに推しが出演するときですね。そのときはテレビのチャンネルを家族にお願いして変えてもらってます』という回答がありました。
確かに、SNSやサブスクリプションサービスの発達によって、インターネットに割く時間が増え、テレビを見る時間は昔と比べると少なくなってしまいました。しかし見逃し配信サービスでは配信されない番組もあるため、若者が完全にテレビを見なくなったわけではありません。
Z世代はソーシャルネイティブ世代なのでSNSを通じて情報収集を行い、“推し”が出ているテレビ番組をしっかりチェックして、目的を持ってテレビを視聴しているのです」(同前)
番組改編で起死回生を図るテレビ各局の今後は、“推し”をどのように生み出していくかが一つのキーポイントとなっていきそうだ。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)