たんぱく質はラム肉か鮭の二択
血流がアップして一時的に体が温まったとしても、筋肉量が少なければその熱は長く留まってくれない。筋肉を作る材料としてたんぱく質をしっかり摂ることも温かい体を作る重要なポイントだ。数あるたんぱく源のなかで、専門家から最も強く推されたのは2位のラム肉だった。
「中国の東北地方をはじめとして極寒の地で伝統的に料理されてきた羊の肉は肉類のなかでも特に温熱効果が高い食材として知られています。なかでも、手足などの末端冷え症や冷え由来の腹痛といった症状を改善する効果が期待できる。加えて多く含まれる鉄分や亜鉛などのミネラルが貧血予防や疲労回復を行うほか、L-カルニチンという成分には脂肪燃焼を促す力もあります」(工藤さん)
管理栄養士の伊達友美さんは、その良質な油分を推奨の理由として挙げる。
「肥満や高コレステロールにつながる飽和脂肪酸の含有量がほかの肉類に比べて少なく、その分血流を促す良質な脂肪分のオメガ3脂肪酸が多く含まれています。たんぱく質の摂取と血流の改善の相乗効果で体が芯まで温まります」
魚のなかでは、日本の最北端・北海道が名産地として知られる鮭が最上位につけた。
「良質なたんぱく質はもちろん、EPAやDHAといった良質な油分や強い抗酸化作用を持ち、毛細血管を広げて血行を促進する赤い色素のアスタキサンチンなど、血のめぐりをよくする成分をふんだんに含んでいます。内臓を温め、消化機能を高めてくれるため、食欲のないときにもおすすめです」(工藤さん)
野菜とたんぱく質を組み合わせ、バランスのいい食事を心がけたい。
飲み物はホットココアが最適
今回は体を温める食品に加え、いまは避けるべき「体を冷やす食品」についても専門家にアンケートを実施した。その結果、最も票を集めたワースト3は「きゅうり」「トマト」「バナナ」だった。いずれも過去の「最強食品シリーズ」でもランクインした“体にいい食品”ではあるものの、これらに共通する成分の「カリウム」が体温低下の原因になる。管理栄養士の堀知佐子さんが解説する。
「カリウムには利尿作用があり、水分とともに塩分も体外に排出します。そのため塩分過多を防ぎ、血圧を下げるといった健康効果もありますが、一方で、尿は熱も体外に排出してしまうため、摂りすぎは体を冷やす原因になる。冬に体が冷えた状態でカリウムの多い食品を食べるのは控えた方がいいでしょう」
緑茶やコーヒーといった飲み物も、多くの専門家たちが「たとえ温かい状態でも体を冷やす要注意な食品」として名前を挙げた。管理栄養士の前田あきこさんが解説する。