元朝日新聞記者でメディア・ジャーナリズム論の平和博・桜美林大学教授は新聞の将来をこう予言する。
「部数減少が日本より大きい米国の新聞社はいち早くデジタル化を進めたが、ネット広告収入に依存するビジネスモデルでは経営が成り立たなかった。デジタル広告市場の5割以上をグーグルとフェイスブック(メタ)に押さえられているからです。そこで、現在ではサブスク(課金)ビジネスに舵を切って、多角化も進めている。
ニューヨーク・タイムズは、主軸のニュースサイトだけではなく、料理のレシピからゲームまでオプションで提供。読者とコンテンツを増やすために1月にはスポーツ専門ニュースサイト『ジ・アスレチック』や『ワードル』というゲームサイトも買収し、サブスク読者は1000万人に到達した。日本の新聞社も経営体力があるうちに同様の取り組みをしなければという危機感を持っているはずです」
「社会の木鐸」を標榜していた新聞が、ニュースからゲームまで売る“総合娯楽産業”に変質する。そうなったとき、ドラマのような「新聞記者」はもう生き残れない。
※週刊ポスト2022年2月18・25日号