その培養自家口腔粘膜シートは患者本人の口腔内粘膜を採取してトリプシンという酵素で細胞をバラバラに分解し、それをドナーから提供された羊膜の上に広げ、細胞の増殖や分化を助ける細胞と一緒に約2週間培養する。そして、作製されたシートを通常の角膜移植と同じように移植。このシートは今年1月に再生医療等製品として承認され、再生医療製品会社のひろさきLIが販売を担当する。
「粘膜シート開発と並行してスティーブンス・ジョンソン症候群を対象に特殊なハードコンタクトレンズを開発したところ、医療機器として承認されました。重症度により、粘膜シート移植とコンタクトレンズを併用するなど患者に応じた治療計画作成が可能になっています」(外園教授)
現在、口腔粘膜シート移植と白内障手術が同時に行なわれ、成果を上げている。しかし、同時に実施すると白内障手術の治療費の半分しか保険適用にならない。旧態依然の保険行政の改善が望まれる。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2022年4月29日号