長年にわたり現像やデジタル化を担ってきた東映ラボ・テックの技師、根岸誠氏(撮影/藤岡雅樹)

長年にわたり現像やデジタル化を担ってきた東映ラボ・テックの技師、根岸誠氏(撮影/藤岡雅樹)

──テレビ画面自体の表現できる情報量が元々少ないから、以前はそれでよかった。でも、そのために作られた画質では今のテレビだと厳しい。だからリマスターする必要があるわけですね。

根岸:テレシネは情報量が少なかったからといって問題があったわけではなく、当時のテレビで見るのには何の支障もなかったんです。

 それから、機材の問題もあります。フィルムには膨大な情報量が記録されているのですが、たとえば二十年前だとそれを今ほどの情報量でデジタル化できる機材がありませんでした。

 少しずつ機材も進化してきて、今はフィルムからの再現域が広がりました。それもすべてはそのようにデータ変換のできる機材ができてきたというとなのです。

──フィルムの情報量にデジタルのほうが追いついてきた、と。

根岸:そういう感じはあります。

【プロフィール】
根岸誠(ねぎし・まこと)/1948年生まれ、群馬県出身。東映ラボ・テックにて「突入せよ!『あさま山荘』事件」などでテクニカルコーディネーターを務める。2017年に文化庁映画賞受賞。現在は東映デジタルラボ株式会社テクニカルアドバイザー。本年2月の映画のまち調布シネマフェスティバル2022にて功労賞を受賞。

【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。

※週刊ポスト2022年4月29日号

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