●大学時代に愛用していたラルフ・ローレンのコートは、10才上の親戚のお姉さんから譲り受けた思い出の品。ある日、友人R江とカラオケボックスに行ったとき、ついブランド名を明かして自慢したら、泥酔した彼女はその場で羽織るや、「もう脱がないから」と頑な。仕方なく私は彼女の安物の上着で帰りました。
その後、2週間ほど放置されしびれを切らした私は、彼女の家まで押しかけたのです。すると玄関先で「ごめん! 友達に貸しちゃった」。「明日着るんだけど!」と詰め寄ると「じゃ、その子の家まで取りに行ってくれる?」とまさかの提案。
いま思えばあり得ないけど、当時ハタチの私はその条件をのみ、埼玉の田舎から東京までノコノコ受け取りに行きましたよ。
そして、駅前にいた友人とやらからは、ヨレヨレの紙袋に雑に詰め込まれた大切なコートを無愛想に突き返されました。(埼玉県・54才)
●30年前、授かり婚をした私は、式・披露宴ではマタニティータイプのドレスを着用。数年後、シングルマザーの友人・M子がめでたく再婚。「再婚同士だから写真撮影だけで済ますつもり。よかったらドレスを貸してもらえない? レンタル代は支払います」とお願いされました。
M子は前夫の浮気とDVに悩まされた挙げ句、離婚。養育費も払ってもらえていないから子供を保育所に預け、身を粉にして働いていました。私はもちろん快諾し、その日のうちにドレスやティアラなど、一式まとめて手渡したのです。
ところが、1年が過ぎても音沙汰なし。ケータイに連絡すると、すでに使われていないという音声メッセージ。新居に手紙を送っても戻ってくるので、後日、部屋を訪ねたら、もぬけの殻でした。
ウエディングドレスに未練はないけれど、ドレスを着た彼女の幸せそうな顔が見たかったな。(大阪府・54才)