「イタチザメは大きいもので体長8mにもなる巨大なサメです。浮いているものであれば、人間でも例外なくかみつきます。一度かんだら何回もかみ、さらに左右に振り回すので、獲物の肉や骨は簡単に食いちぎられてしまいます」
実害もある。同年10月、愛知県豊橋市の伊古部海岸の沖合で、サーフィン中の40代男性が、サメにかまれてけがをした。男性は幸い自力で助けを呼ぶことができた。
今年に入ってからも、サメの捕獲・目撃情報は相次いでいる。5月、山口県周防大島町で、体長3・5mの「ホホジロザメ」が捕獲された。
「ホホジロザメは絶滅危惧種に分類されるほど世界的に希少なサメです。そのうえ、瀬戸内海で捕獲されるのは非常に珍しいことです」(前出・仲谷さん)
さらに、6月には沖縄県那覇市の干潟で「オオメジロザメ」が目撃された。
「市街地のほど近くの干潟です。それも、1匹ではなく、4匹ものオオメジロザメが目撃されたそうで、地元の関係者は困惑していました」(前出・全国紙社会部記者)
オオメジロザメについて、仲谷さんが解説する。
「体長は3mにおよぶこともあります。人を襲うこともある獰猛な種です」
異変は世界でも見られている。7月3日、エジプト東部のリゾート地ハルガダ沖の紅海で、遊泳中の女性2人がサメに襲われ、亡くなった。
「このビーチリゾートは世界有数の観光地で、毎年夏は世界中からの観光客でにぎわいます。事故当時も観光客は多数いて、周囲はパニックになったそうです。後に、海が血の色に染まる動画も投稿されました」(前出・全国紙社会部記者)
北上したサメが日本近海に出現
なぜ、これほど人間に近い場所で、狂暴化したサメが頻繁に目撃されているのか。
仲谷さんは、地球温暖化の影響について言及する。そもそもサメは南方の温暖な地域の海に、数多く生息するといわれている。
「温暖化すると、本来南の海に生息していたサメが北上して、日本近海まで分布を広げることは充分に考えられます」
さらに今年は本州沿岸で例年よりも多くのサメが確認されているという。