海老沢由紀(中央)の選挙戦に協力

海老沢由紀氏(中央)の選挙戦に協力

 最後は、ボランティアへのペットボトルの配布。選挙の最終週あたりから、氷の入ったアイスボックスにペットボトルの水やお茶などが常時入れられており、ボランティアに配っていた。これは、公職選挙法が禁止する「飲食物の提供」に相当する。

 日本大学名誉教授の岩井奉信はこう語る。

「指摘のあった3つとも公職選挙法違反にあたりますが、その中でも一番スジが悪いのは、ペットボトルを配ったことでしょう。これは、テレビの選挙特番などでも取り上げられるほど、広く知られた違反行為だからです」

 大阪維新の会の結成から数えると、10年以上にわたり、さまざまな選挙戦を戦った経験があるはずなのに、こうした素人集団のような杜撰でいい加減なところが残っている。これも維新という組織の一面を表している、といえよう。

 維新の会にこれらの行為について見解を尋ねたが、「選挙運動用ビラの配布にあたっては、腕章を着用する義務はございません。のぼりについては、そののぼりが個人演説会等の会場の掲示の特例に該当するのぼりであるならば、法上問題がないと考えます。飲食物の提供の禁止の飲食物には『湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子』は除かれています」(事務局)との回答だった。

(後編につづく)

【プロフィール】
横田増生(よこた・ますお)/1965年福岡県生まれ。ジャーナリスト。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。1993年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。1999年よりフリーランスとして活躍。2020年、『潜入ルポ amazon帝国』で第19回新潮ドキュメント賞を受賞(8月に『潜入ルポ アマゾン帝国の闇』と改題し刊行予定)。近著に『「トランプ信者」潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ』

※週刊ポスト2022年8月5・12日号

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