投資にハマっていたときの自分について“うつつを抜かしていた”と表現した木本

“うつつを抜かしていた”と自身の投資を振り返る木本

「預けた100万円がどうなっているか、たまに見に行くと『これだけ上がってます』と。彼が扱ってたのは、確か『ユーロ/ドル』だったか……情けない話、それすらもよく分かってなかったんですね。まだちょっとずつ増えている感じだったので、利益はとりあえず置いておいてという感じで任せっきりでした。

 その矢先に、A氏が色んな人のトレードをやりたいと言い出したので、日ごろから情報交換している投資好きの仲間に『こんな奴がいて、すごいねん』と話したんです。みんなが『やる!』って盛り上がって、とりあえず今財布に入ってる金を預けようと。後日、皆と集まるところにA氏に来てもらって、人となりも見てもらった上で信用してもらってから、本格的にやるということになりました」

 A氏の見た目は「普通の若者」。しかし、専門用語を駆使する話術に説得力もあり、投資の知識のない芸能人たちは彼の話に引き込まれていった。

「たとえが良くないかもしれませんが、アニメ『デスノート』の夜神月みたいな雰囲気だったんです。僕らみたいなFXを知らない人間からしたら、天才ですよね。相場を見ながら『木本さん、どのタイミングで行くか言ってください』と言われて、やってみると『ここは違います。ここです』と言って、A氏がやると利益がバーンと出るんですよ。

 お金のやり取りですが、皆が直接、彼にお金を渡すのが大半。現金を振り込む人もいれば、仮想通貨で払う人もいました。それぞれ、都合のいいやり方でお金を預けたんです。よく分からないけどやってみたいから『木本さんにお金を預けていいですか?』と言う人も1人いました。

 ポンと200万円出す人もいれば、もっと大きい額の人もいて、全員のトータルで1億円以上です。その頃になると、僕もわざわざA氏のトレードの現場を見にいくこともなくなって、電話で報告を受けるぐらいになっていました」

 A氏から、どれぐらい利益を出すという話は出ず、当然、元本も保証されていなかった。

「それは覚悟の上ですよね。でも、コイツなら大丈夫だろうと思ってしまったんです。電話で、利益が10%から15%、すごい時には20%出ましたとかって報告が来るんですよ。それを聞けば『すごいな!』ってなるじゃないですか。利益の半分をA氏が取ることになっていて中には毎月受け取る人もいました。でも、僕を含めた何人かは仮想通貨やドルで受け取れると聞いてもよくわからないので、ある程度貯まってから考えようと。

 ダメですよね。後回しにすると、危くなった時の兆候がわからない。結果的に大変なことになってしまうんです」

 異変が生じはじめたのは2020年の夏ごろのことだった。

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