もはや第7波の新型コロナは、インフルエンザよりもはるかに重症化率の低い「ただの風邪」レベルだと推測されるのだ。ただし、高齢者や基礎疾患のある人は注意を要するのは変わらない。コロナが風邪並みになったのに政府が従来と同じ対応を繰り返すことに、医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが苦言を呈する。
「現在の政府の対応は『違法』だと考えています。もはや薬と自宅療養で治る患者を強制的に隔離して社会経済活動を抑制することは、感染症法上の規定に反します。自宅に閉じ込められた高齢者が体調を崩したり、認知症を悪化させる恐れもあります」
名古屋大学名誉教授の小島勢二さんも「検査による無症状者あぶり出し」に否定的だ。
「実際のところ、無症状の感染者は検査で把握できる感染者の数倍に達すると考えられます。なので、検査して無症状の陽性者をあぶり出し、その人たちに行動制限を強いても、感染防止効果は限られるのです」
そもそも、無症状者が周囲に感染させるリスクが低いことは、厚労省や専門家がずっと指摘してきたことだ。新型コロナ患者に厳格な措置が取られるのは、感染症法上の扱いが「2類相当」だからであるとして、季節性インフルエンザと同じ「5類」への引き下げを求める声は多い。
岸田文雄首相はようやく7月31日、「2類相当」からの引き下げを検討すると表明した。隔離やマスクの着用をいつまで続けるのか。いまこそコロナとのつきあい方を考える時期にきている。人生でたった一度しかない高校球児の夏を台無しにしないことを願いたい。
※女性セブン2022年8月18・25日号