2か月で痛みが消えた
これらの「ひざ皿ストレッチ・トレーニング」を数か月続けると、痛みが引いて日常生活で立ったりしゃがんだりの動作や、階段の昇り降りが楽になるという。最近も、渡辺医師の指導したストレッチによりひざ痛が改善した人がいた。
「ある61歳男性のケースです。コロナ禍の在宅勤務で体重が8kg増え、運動不足解消のためにジョギングを始めたところ、しばらくして両ひざの前が痛み始め、夜寝ていてもジンジン痛むようになったということで受診されました。
まずはじめに2週間ほど消炎鎮痛剤を処方して、ひざの安静を保ってもらい、膝蓋下脂肪体の腫れが引いたところで『ひざ皿ストレッチ』などの運動療法とダイエットに取り組んでもらったところ、2か月程度でひざの痛みはまったくなくなったそうです。もちろん、『ひざ皿ストレッチ』をはじめとする運動療法は、正しいやり方を知っていれば、医療機関に通わなくても自分ですることができます」
ストレッチや運動以外にも、ひざ痛に効果的な「生活習慣」がある。
「シャワーだけでなく、湯船に浸かってひざを温めると、硬くなった筋肉や靭帯をほぐすことができます。整形外科で行なう温熱療法と同じで、血流が良くなり痛みが軽くなる効果が期待できます。入浴後にひざ皿ストレッチなどを行なえばより効果的です。また、床や畳にひざを曲げて座る正座は、屈曲が過度になると、ひざ関節の軟骨が潰れる可能性があるので、イス式の生活へ切り替えたほうがいい。
これらの運動療法や生活習慣を心がけても痛みが取れない場合、あるいは痛みが強くなった場合は、必ず整形外科など専門の医療機関を受診してください」
普通の体操とは大きく異なる「ひざ皿ストレッチ」。ひざ痛に悩んできた人は、まず試してみる価値がありそうだ。
※週刊ポスト2022年10月21日号