一方、血管で炎症が起これば動脈硬化の原因になりかねない。それを防ぐには、血管などの細胞膜を再生する不飽和脂肪酸のオメガ3を含む食べ物が欠かせない。
「オメガ3脂肪酸とは、アジ、イワシ、サンマなどの青魚に含まれるEPAやDHA、エゴマ油やアマニ油に含まれるαリノレン酸を指します。オメガ3は細胞膜をしなやかにして、抗炎症作用と抗酸化作用で元気な細胞を作ります。
反対に、大豆油やコーン油などの食用油に含まれるオメガ6脂肪酸は、必須脂肪酸ですが摂りすぎると炎症を悪化させることが分かっています」
人間は不飽和脂肪酸を体内で作れないので、食べ物から摂取するしかなく、その際には「バランスに注意。オメガ6の摂取量は一日10グラム程度が望ましい」と望月氏は言う。
関節の潤滑油の成分
歳を重ねると、歩行や階段の昇り降りで苦労することが増える。ひざの関節炎や骨のすり減りとの関係で注目されるのが、「コンドロイチン」や「コラーゲン」「ヒアルロン酸」だ。
「いずれも関節や軟骨を構成する成分で、バランスよく摂取するのがいいでしょう。炎症を抑えるというより、ひざの潤滑油となってスムーズな動きになることを助け、二次的に痛みを和らげる効果が期待できます。
軟骨を修復するコンドロイチンは、鳥の皮や肉類の軟骨部分に含まれます。弾力性があり、関節痛を和らげるコラーゲンは、うなぎやシャケの皮、骨付き肉や軟骨に含まれます。ヒアルロン酸は優れた保水力と粘性がある成分で、うなぎや鳥の皮、フカヒレなどに多く含まれます」
これらを手軽に摂取する方法としてサプリメントも知られているが、「なるべく食べ物から摂りたい」と望月氏は言う。
多くの病の原因になる炎症は、放っておくと大病へとつながることがある。それを防ぎ、健康寿命を延ばすにはバランスのいい食事が基本だ。
※週刊ポスト2022年10月21日号